リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

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2014年02月14日 17時44分01秒 | 音楽系
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1曲は、BWV995のジグ。昨年のリサイタルのときの演奏です。途中をとばして一気に最後の曲です。小出しにしてますねぇ。(笑)

このジグの終わりから17小節目にある、「長いトリル」(自筆譜には大変明確に長いトリルが示されています)はリュートにとってとても難しい箇所です。長いトリル自体は特に難しいわけではなく、リュート曲にはごく普通にあらわれますが、このジグの件の箇所のように、トリルをやっている間にバスが3つも動いているという曲は本曲のみです。ヴァイスにはトリルの頭と解決のバスまでの間にもうひとつバスが動く曲があります(ヘ長調ソナタのクーラント)が、それ以上バスが動くのはありません。

鍵盤楽器だとトリルが長く流れている下のバスが動いた場合でもそれほど難易度が上がるわけではないでしょうが、リュートの場合だと、それが「超難所」になってしまいます。

でもまぁこの箇所は別にこだわらくても長めのアポジャトゥーラにしても構わないとは思います。ここばかりにこだわってほかの箇所をないがしろにするのは全く無意味だし、リュートを知らない人にとって、この箇所で長いトリルをきれいに決めても別に超絶技巧を駆使しているなんて想像もつかないのでは。

しかしながら、バッハがほかならぬ「リュートのため」と明確に書いた唯一の曲で、明確に長いトリルが示されている以上やらねばならぬ、というのがリュート奏者の基本的立場でしょう。同一曲であるBWV1011の無伴奏チェロ組曲第5番では、さすがにチェロにそんな無茶なことはさせていません。バッハも作曲するときにもうちょっと誰かリュートが弾ける人に相談してくれているとよかったのですが・・・

この曲の録音は沢山ありますが、みなさんどうやっているかというと、大半の人は短いトリルとか上からのアポジャトゥーラでお茶をにごしています。ちゃんとやってる人は少数派です。では私はどうやっているのか?聴いてのお楽しみです。でもまぁライブですから。(笑)

アップしたもう1曲はドゥビューのシャコンヌです。これはリュート奏者が作った曲なので安心して演奏できます。