リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ガット弦に張り替え(2)

2016年06月19日 00時35分53秒 | 音楽系
2コース以外張り替えました。1,2コース用のガットはまだウニヴェルサーレ社から届いていません。1コースはとりあえず手持ちのガット弦(0.44mm)を張ってみました。



ナイロンと比べると全体的に少し落ち着いたトーンになりますが、バス弦はとてもバランスがいいです。振動不良の弦がないため、とても調弦がしやすいです。ナイロンの細い弦だと、1,2本でいいのが当たればとてもラッキーです。先日のリサイタルの際は、1弦の選定に9本の弦が必要でした。つまり、音程不良や振動不良の弦ばかりで、ストックがなくなったら、念のためとっておいた使い古しの弦を使ってリサイタルに臨もうかと思っていましたが、9本目でいいのにやっとあたりました。ナイロン弦の細いのはほんとに困ったものですが、ガット弦だと職人さんの手作りになるので精度はずっといいのでしょう。

3年程前のガット弦トライアルのときは、バスにガムート社のギンプ弦を張ってみましたが、パワーがなさすぎて使い物になりませんでした。先日お会いしてガット弦に関するアドヴァイスを頂いた佐藤豊彦さんも、「みんなギンプ弦で失敗するんだよね」とおっしゃっていました。佐藤さん自身も恐らくギンプ弦で失敗したクチではないでしょうか。彼の2001年のアルバムには、使用弦が書かれていて、「ピストイ・ガット弦及びギンプ・ガット弦を使用」とありました。

私が試したギンプ弦は、銀の細い線をガットと一緒に折り込んだものでしたが、べらぼうにお値段が高かったです。これをルネサンスリュートの6~7コースに使ってみたんですが、ちょっとこれでは・・・という感じでした。高価だったこともあり、これをバロックのバス弦として使う気はおこりりませんでした。

佐藤さんの2001年のアルバムには次のような記述もあります。

「・・・(6年前(1995年)録音では)一日最高6本の第1弦を必要とした・・・今回は全録音の3日間で4本という少なさで、ここ5,6年間のガット弦の質の向上には目覚ましいものがある・・・」

3日で4本というのも大概だと思いますが、一日6本というのは全く実用的でないということでしょう。それが最近ではやっと実用的に使えるガット弦が出て来たという感じです。まだ届いていなウニヴェルザーレ社の弦がどのくらい持つのか楽しみです。佐藤さんは2ヶ月ちかく持つとおっしゃっていましたが。