リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ガット弦使用書き記し(改訂版)

2016年07月24日 13時46分18秒 | 音楽系
ガット弦使用に関して書き記しておきます。

ガムート社はウェブで注文完了(カード決済)するのでとても便利。到着は2週間~3週間。もっと早いときもある。

ウニヴェルサーレ社はメールで注文して、ペイパルで支払い。そこそこ便利だが、メールの返信は、時期によってはとても時間がかかる。時間に余裕が必要。

今回使用した弦は以下の通り。

Gauge Tension
1 0.42 U 4.04
2 0.48 U 3.73
3 0.58 G 3.06
4 0.74 G 3.14
5 0.88 GP 3.14
6 1.18 GP 3.16
 0.52 G 2.46
7 1.32 GP 3.14
 0.28 G 2.43
8 1.46 GP 3.05
 0.66 G 2.49
9 1.58 GP 3.18
 0.70 G 2.50
10 1.70 GP 2.93
 0.76 G 2.34
11 1.92 GP 2.96
 0.84 G 2.27
12 1.70 GP 2.56
 0.80 G 2.27
13 1.92 GP 2.60
 0.90 G 2.28

U=Universale, G=Gamut plain, GP=Gamut Pistoy
string length 70.5/78.5
いずれもニスコーティング(varnished)あり。
またいずれも羊ではなく、牛のガットである。牛の方が丈夫である。ウニヴェルサーレ社では羊、牛の選択が可能であるが、ガムート社ではここ1,2年かで全て牛に転換した。

ウニヴェルサーレ社の弦は少し音が固いが、とても丈夫である。
1,2コースは定期的な交換が必要(2,3週間くらいなら問題なく使える)だが、他は必要に応じて交換または長期間使用が可能。
細い弦は早く安定するが、バス弦(ピストイ)は一ヶ月くらいかかる。1週間くらいでは、とても不安定。
バス弦の減衰時間は、カーボン弦(同等の張力)と同じくらいだが、カーボン弦は固いためか、高い倍音が入りがち。ピストイはとてもしなやかで扱いが楽。高次倍音が少なめで、カーボン弦よりは良好。上記の組み合わせで、とてもバランスよく鳴る。耐久性、音質両面でやっとコンサートで運用できそうなレベルに到達か。ただ耐候性はちょっと気になる。


バス弦に関して他のブランドのレビュー:

ガムート社のギンプ弦はバス弦としては使用に耐えない。同社のリヨン弦は、HPからの情報ではピストイよりは固いとあるので、おそらくピストイの方が良好だろう。ピストイは3本のガット弦を、それらと反対方向に撚ったもの。そのあと研磨して弦の直径を調整。オプションでvarnishedあり。弦の表面は平滑なので、擦弦楽器でも使用可能。

アキーラ社のヴェニス弦は2本のガット弦を撚ったもの。直径の表示が曖昧。1.20ミリの表示であれば、実寸は1.18~1.22ミリの間である。ガット弦として計算した太さに1.07を掛けた値が、選択すべきヴェニス弦の直径である。従ってガットのプレイン弦やガムート社のピストイよりは太めを使うことになる。(同社のHPからの情報)お値段がガムート社のピストイ弦よりかなり安いので魅力的だが、以上の情報を総合すると試用をためらう。

アキーラ社のローデド・ガットはとても精度が低く使用に耐えない。また同社のオープン・ワウンド弦はいまだに発売されない。

キュルシュナー社の、ガットに金属を巻いた弦(型番は忘れました)は、うまく振動せずきちんとした音程が出ないレベル。

まだバス弦に張ったことはないが、キュルシュナー社のルクスライン弦は表面がロープみたいで平滑ではないので、押弦する弦としては不向きかも。メーカーでは、オープンワウンド弦と機能的には同じと謳っているいも、質量的には同じでも表面が相当異なるので、機能的に同じだというのはちょっと無理かも。ルクスラインはガット弦相当で最大直径1.60ミリしかないとHPにはあるので、バロックの9コースくらいまでしか使用できない。


以上、現段階で体験したことやHPからの情報を書き記しておきました。