リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

外国人アナウンサーの英語が分かる!

2019年07月02日 14時33分42秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
新聞の広告で、聞き流すだけで英語が分かるようになるとか、洋画が字幕なしで分かったとかをうたう英語教材があります。

ウソゆうたらあかんやろ!

そんなわけありません。聞き流すだけで英語の力がつく筈はなく、ましては洋画が字幕なしで理解できるという高度なことがそんはナガラ勉強みたいなものでできる訳がありません。自分の経験からは、それ相応の文法知識、語彙力、実践的コミュニケーションなんかが絶対に必要で、そんな王道みたいなモノはないと考えています。でも件の教材、今日の朝刊にも広告が出ていましたから、結構売れているのだと推測されます。

実はこの教材の広告、よく吟味してみると「分かる」とは言っていても「力がつく」とか「理解できるようになる」「自由に英語を使いこなせるようになる」なんて一言も言っていません。映画や英語ニュースを見ていて、一つ二つ分かる言い回しがでてきたら「洋画が字幕なしで分かった」だし「外国人アナウンサーの話す英語が分かった!」とは言えます。分かったには違いありませんから。

あとこんな表現もありますね。「私が英語を話したら、小学生の孫がスゴイ!って!」それがどうした、え?じいちゃんばあちゃんは英語しゃべるわけはないと孫は思っていますから、そりゃ1フレーズや2フレーズ言えば孫はスゴイ!って言います。

以上は教材をやった成果についてですが、あと方法論についてもうたっています。聞き流すだけ、テキスト・辞書不要、耳から覚える、暗記じゃない・・・など口当たりのいいフレーズが並んでいます。これらのフレーズから、この教材の目標とする達成レベルと学習方法をまとめてみますと次のようになります。

達成レベル:
1 洋画や英語ニュースの英語の単語や短いフレーズがたまにチラッと聞き取れる
2 夫がスゴイという
3 孫がほめる

学習方法:
1 テキストを聞き流す
2 1回5分程度、(たまにテキストも見る?)

うむ、このくらいなら、このナンチャッテ学習法でも達成できる可能性は充分ありますので、ウソとか詐欺とかは言えないかも。(別の言い方をすると別にこの教材を使わなくて達成できます)でもこの広告を目にした人は、もっと高度な内容がこんな簡便な方法で身につくんだ、と思うのではないでしょうか。でもこんな単純な方法で英語が身につくくらいなら、全国にたくさんいらっしゃるESL (English as a second language)の先生方が苦労はしません。

本来はとても地道な努力が必要な、英語を使いこなすというスキルを、こんな簡便な方法達成できる!と言い切っているような印象を与え、でも実はよく読んで見るとそうとは一言も書いてなく逃げも打っているというこの広告、限りになくクロに近いグレーです。法的な詐欺ではないかも知れませんが、誇大広告という網をかぶせることくらいはできるのではないでしょうか。どうも時間と金銭的な余裕がある高年齢層をターゲットとしているような広告ですが、全国のじいちゃん、ばあちゃんの皆さん、語学習得は地道に努力を積み重ねるのが実は近道ですよ。ただかつて勉強してきた方法論ではだめですが・・・それについてはまた機会があれば。