リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

Dezolve

2019年07月28日 12時04分54秒 | 音楽系
少し前某新聞にDezolveというフュージョンバンドのCDのレビューが載っていました。フュージョンなんてまだあるんだと思いましたが、なんでも20代前半の若い人たちのグループだそうです。

フュージョンというジャンルは、70年代に生まれた、ジャズにロックの要素を加えた感じの音楽です。まぁ文字通り融合というわけですね。実は私、当時少しフュージョンに凝っていまして、一時はリュートからフュージョンギタリストに転向しようかと真剣に思ったこともあったくらいです。当時20代も半ばを過ぎていましたので、もうちょっと遅いのでは思い転向は踏みとどまりましたが、今から思うと20代半ば過ぎなんてちっとも遅くはなかったですよね。

ギター系のフュージョンをよく聴いていましたが、そのきっかけは渡辺香津美の「オリーブス・ステップ」というアルバムです。これはある意味衝撃的でした。これを契機に、大村憲司とかリー・リトナーなんかを聴くようになりました。森園勝敏とか高中正義も聴いていました。まぁ高中はちょっとフュージョンからは距離がある感じではしましたが。

で、そのDEZOLVEですが、AREAと SPHEREと PORTRAYの3つのアルバムをアマゾンで購入して聴いてみました。件のレビューでは彼らが20代だということで、若いのにすごいみたいな書き方をしていましたが、昔の元祖フュージョンミュージシャンもみんなそのくらいの年齢だったですよね。今、彼らは60代になっていますので、DEZOLVEのメンバーは孫までは行きませんが、息子よりさらに若い世代です。

彼らの音楽は、古いフュージョンと比べるとハーモニーが厚く、演奏や作曲技術的にもとても洗練されています。40年間のスタイル的な変化を感じさせます。ちょうどバロック中期の音楽がギャラントな音楽に変化していったのとよく似た足取りです。

彼らの始めのアルバムでは少しフレーズ的にインスピレーションが足りない感じがしましたが、それ以降のアルバムではだんだん成熟しきている感があります。

アルバムを聴いていて、ギターは今も昔もディストーション(細かく言えばいろいろあるでしょうけど)がかかっていますが、キーボードではローズ・ピアノとか生サックスの音が全くなくなってしまったのは時代の流れなんでしょうか。ローズ・ピアノの繊細かつワイルドな音色はどっちかというと音色の変化に乏しいキーボードのなかにあってとても魅力的なんですけど、どうしてなんでしょうねぇ。このジャンルにはあまり詳しいわけではありませんが、思い起こしてみると、カシオペアのキーボードがFM系の音でとても新鮮でしたからあのあたりで流れが変わっていったのでしょうか。

ということで最近車の中でDezolveをよく聴いていますが、ちょっと飽きたらバッハのオルガン・トリオ・ソナタ、次にマーラーの6番、たまには松平頼則とかエリオット・カーター、でまたDezolveと私の場合は結構めまぐるしくジャンルが変化します。ちなみにリュートの音楽はまず聴くことはありません。自分で弾けば、自分にとって一番ここちよく弾きますから。