今度のリサイタルで演奏する委嘱作、太田伊都子さん作曲の「追想の情景から~リュートのために」、作曲は昨年までに完成していますが、それをリュートでどう弾くかについてはいろいろ工夫していく必要があります。大体は落ち着くところまでは行っていますが、まだ通して何度も弾いて正しい運指を見い出していかなければなりません。
今まで何人かの方に新しい作品を委嘱しましたが、多くの方はリュートは弾けませんので、鍵盤楽器では難なく弾けてもリュートではとても困る音型が出たりします。そういうところは作曲家と相談して音を減らすとか場合によっては書き換えもお願いしました。
もう20年くらい前に名古屋市在住のアメリカ人作曲家ジェイソン・テイラーさんに作曲をお願いしたときは、リュートであまり効果的でない箇所をこちらで修正した形に変えることをお願いしたこともありました。彼はギターを上手に演奏しますが、そこはギターなら上手く行けるけどリュートの性能では表現上の限界があるといった箇所でした。その数年後にお願いしたヴァイオリンとバロック・リュートのデュオ作品「アナバシス」では全く修正の必要のないほどリュートパートはよく書けていました。ヴァイオリンパートはバロック・ヴァイオリンだと結構きつい部分もあったようですが。この作品はテイラーさんの作品個展演奏会で演奏しました。
伊福部昭さんの作品「バロック・リュートのためのファンタジア」(1980)は何と原典がタブで書かれていますので何も直す必要というかどのポジションにしようか迷う必要はありません。というか勝手に直してはいけません。この曲は作品を管理する親族の方からある方を通じてコピーを頂いたのですが、タブで書かれていてどういう曲かが分からないのでぜひ色んなところで演奏してくださいというメッセージを頂いています。今までに数回は演奏させて頂きました。7年前の金沢でのコンサート以来弾いていないのでまた機会があれば弾いてみたいです。こういう作品ばかりだとありがたいのですけどねぇ。
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