花粉に敏感な方はぼちぼち花粉を感じてきている頃らしいです。花粉の大きさは20~30ミクロン、大きいモノで100ミクロンくらいあるそうです。1ミクロンは1/1000ミリメートルなので、20ミクロンは0.02mmになります。
私がバロック・リュートの1コースに張っている弦の直径は0.44mmですが、これを0.42mm弦に交換すると結構張力の違いを感じることができます。というのも張力が思った以上に変化し約400g分だけ緩くなるからです。わずか0.02mm(=20ミクロン)、花粉1粒分だけ細くするだけで、ペットボトル飲料1本に近い分だけ弦が緩くなることになるわけですから、あなどれません。
よく細かい細工をする、というたとえに「ミリ単位の仕事」という言い方をしますが、リュートを「ミリ単位」で作ったものなら、およそ楽器として成立しません。弦でも、細い弦は0.02ミリ単位で売られています。もちろん各バーツの接合が「ミリ単位」でやっていたら、あちこちに隙間ができて、弦を張ったら楽器は分解してしまいます。1コースの弦と指板のマージンとか各複弦の間隔、フレットの高さなんかももちろん「ミリ単位」ではありません。もっともこういうことはリュートに限らず全ての弦楽器に当てはまります。ときどきミリ単位で製作したかのようなリュートを見せられることがありますが、それには全く閉口します。
上の写真は、ナットの高さを調整(かさ上げ)するための紙です。別に特別な紙というわけではありませんが、トヨタ自動車から送られてきたDMの封筒が0.15mmでしたので、これを使っています。ボルボのカタログを入れる封筒も同じくらいの厚さです。これより厚いと調整しにくいし、これより薄いのは何度も調整しなおす必要が出てくるので、やや厚の0.15mmくらいが使いやすいと思います。
フレットは、0.05mm単位で太さを変えていき調整します。たとえば1フレットが少しびびるようでしたら、1フレットのガットを0.05mm太いのに交換してみます。弦メーカーで販売しているフレット用のガットも0.05mm単位で太くなっていきます。開放弦を弾いて少し1フレットに当たっている感じがしたら、1フレットを少し細めのものにするかナットを少し高くかさ上げします。ナットをかさ上げするときに私が使っているのが、このトヨタやボルボの封筒です。これを1枚ナットの形に切ってナットの下に敷くと、フレットを3サイズ太くしたのと同じくらいの効果があります。ちなみにナットを0.15mm程度高くするくらいでしたら弦高が上がりすぎて弾きにくくなるという感じはあまりありません。ただもう一枚重ねると結構きますので、念のため。
このようにリュートの各部の接合のみならず、フレットや弦、ここでは例に出しませんでしたがペグの加工なんかも「ミリ単位」ではなく20ミクロンくらい(あるいはそれ以下)の単位で製作、調整されます。このあたりが同じ木工品でも民芸品や家具などと大きく異なる点です。こういった精密な調整や加工はもちろんヴァイスの時代、ダウランドの時代のリュートであっても同じです。
さて「ナット調整用紙」をまだお持ちでないかたは、ぜひ各自動車会社のショールームにお出かけになり厚手の封筒やカタログをゲット致しましょう。
私がバロック・リュートの1コースに張っている弦の直径は0.44mmですが、これを0.42mm弦に交換すると結構張力の違いを感じることができます。というのも張力が思った以上に変化し約400g分だけ緩くなるからです。わずか0.02mm(=20ミクロン)、花粉1粒分だけ細くするだけで、ペットボトル飲料1本に近い分だけ弦が緩くなることになるわけですから、あなどれません。
よく細かい細工をする、というたとえに「ミリ単位の仕事」という言い方をしますが、リュートを「ミリ単位」で作ったものなら、およそ楽器として成立しません。弦でも、細い弦は0.02ミリ単位で売られています。もちろん各バーツの接合が「ミリ単位」でやっていたら、あちこちに隙間ができて、弦を張ったら楽器は分解してしまいます。1コースの弦と指板のマージンとか各複弦の間隔、フレットの高さなんかももちろん「ミリ単位」ではありません。もっともこういうことはリュートに限らず全ての弦楽器に当てはまります。ときどきミリ単位で製作したかのようなリュートを見せられることがありますが、それには全く閉口します。
上の写真は、ナットの高さを調整(かさ上げ)するための紙です。別に特別な紙というわけではありませんが、トヨタ自動車から送られてきたDMの封筒が0.15mmでしたので、これを使っています。ボルボのカタログを入れる封筒も同じくらいの厚さです。これより厚いと調整しにくいし、これより薄いのは何度も調整しなおす必要が出てくるので、やや厚の0.15mmくらいが使いやすいと思います。
フレットは、0.05mm単位で太さを変えていき調整します。たとえば1フレットが少しびびるようでしたら、1フレットのガットを0.05mm太いのに交換してみます。弦メーカーで販売しているフレット用のガットも0.05mm単位で太くなっていきます。開放弦を弾いて少し1フレットに当たっている感じがしたら、1フレットを少し細めのものにするかナットを少し高くかさ上げします。ナットをかさ上げするときに私が使っているのが、このトヨタやボルボの封筒です。これを1枚ナットの形に切ってナットの下に敷くと、フレットを3サイズ太くしたのと同じくらいの効果があります。ちなみにナットを0.15mm程度高くするくらいでしたら弦高が上がりすぎて弾きにくくなるという感じはあまりありません。ただもう一枚重ねると結構きますので、念のため。
このようにリュートの各部の接合のみならず、フレットや弦、ここでは例に出しませんでしたがペグの加工なんかも「ミリ単位」ではなく20ミクロンくらい(あるいはそれ以下)の単位で製作、調整されます。このあたりが同じ木工品でも民芸品や家具などと大きく異なる点です。こういった精密な調整や加工はもちろんヴァイスの時代、ダウランドの時代のリュートであっても同じです。
さて「ナット調整用紙」をまだお持ちでないかたは、ぜひ各自動車会社のショールームにお出かけになり厚手の封筒やカタログをゲット致しましょう。