リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

アルバム配信中

2023年12月21日 10時30分03秒 | 音楽系

アルバム「リュートによるバッハ・ヴァイス作品集」のSpotify配信が今月から始まっています。

アートカバーはユキンコアキラ氏による制作です。

曲目は、バッハ/チェロ組曲1番と4番(中川編曲)とヴァイス/ソナタ第34番です。Spotifyはアカウントを作れば無料で聴くことができます。無料版は途中で宣伝を聞かなくてはいけませんが、有料版にすると音楽のみをずっと聴くことができます。

Shoji Nakagawa で検索できると思いますが、検索すると「しょこたん」のアルバムが一杯出てくるかも知れません。(笑)検索文字にluteを加えるといいかもしれません。

なおYouTubeでも配信されていますので、そちらでもお聴きになれます。

YouTube チャンネル→https://www.youtube.com/channel/UC80ShgrT6otG9_xkR_MV0SA

(このアルバムはまだYouTubeで審査中なのでYouTubeチャンネルにはまだ登録されていません。Shoji Nakagawa luteで検索してお聴き下さい)


オクターブ弦にカーボン弦

2023年12月20日 22時00分12秒 | 音楽系

3週間くらい前に頼んだカーボン弦(サバレスKF)ですが、大多数はすぐ来ましたが数本まだ届いておらず、弦ディーラーからはまだ2~4週間かかるとの返事がきました。どうなってるんでしょうね。そういやアキラに頼んだCD弦もまだ届いていません。4日で届いたものもあれば、いまだに届いていないものもありで、格差が激しいです。

バロック・リュートの6~13コースのオクターブをナイルカットからカーボンに変えてみるためにこのオーダーを出したのですが、その分はすでに届いているので張り替えて2週間くらい経過しています。

以前のスキームでは6~13コースのオクターブはナイルガットを使っていたのですが、実はとても大きな問題というか扱いにくいことがありました。それは太めのナイルガット(オクターブ弦でいえば8コース以下)は気温が下がると音程が上昇するのです。ガットを含む他の素材はその逆です。従って演奏する場所を変えるときとか、演奏していてステージの気温が変化するときにはとても扱いにくいのです。全ての弦が大体同じ方向に変化するのが扱いやすいのです。

弦を注文する前に手持ちのサバレスKF弦を10コースと12コースに張ってみたところ、これがなかなか具合よかったです。もともとは気温変化に対する感受性の問題で変えてみたのでしたが、音色的にもナイルガットの乾いた感じからむしろしっとりした音質なのです。細いカーボン弦を1、2コースにはるとキンキンした音色になるので、これは意外でした。

ということで今回6~13コースまで全てサバレスKFに変えてなかなかいい感じです。私の場合5コースと4コースもKFですがこれも全くキンキンしたところがなく、3~1コースのGamut ナイロンにうまく橋渡しをしてくれています。


神田の古賀書店

2023年12月19日 20時56分22秒 | 音楽系

先日所用で久々に新幹線に乗り、東京のお茶の水の方にでかけました。用を済ませて、少し時間もあるのでぶらぶらと歩くことにしましたが、ふと思いついて少し距離はあるけど、神田の古本屋街に行ってみることにしました。

神田の古本屋街には確かクラシック系の楽譜や資料が沢山おいてある店がありました。そこでMinkofが出しているピサドールのシフラ本を買ったことがあります。すでにMinkof版が絶版になっていた頃で、よくぞこんなところにと思ったものでした。

ただその本屋の屋号も場所もうろ覚えで何度も道の北側にならぶ書店を眺めながら行ったり来たりしましたが、なかなかみつかりません。確か屋号には「賀」の字があった感じがしたので、「賀」を探して見ていきましたら「芳賀書店」というのがありました。でも覚えている店のたたずまいとはかなり異なります。それにここはどうもアダルト専門店みたいです。まさかアダルト専門店に衣替えというのはいくら何でもあり得ないでしょう。

しようがないのでネットで調べてみたら、あっさりと見つかりました。最初からこうすればよかったです。屋号は古賀書店といって昨年の暮れに閉店してしまっていました。

1年経った今更ナンですが残念なものですねぇ。ピサドールを買ったとき伊福部昭の「バラータ・シンフォニカ」のスコアもあり、どうしようかと迷って結局は買わなかったですが、あのとき買っておけばよかったです。


年賀欠礼

2023年12月18日 13時09分51秒 | 日々のこと

今年は身内に不幸がありましたので、年賀状は欠礼させて頂きます。<(_ _)>

かわりと言ってはナンですが、昔の年賀状をご覧下さい。

34年前の年賀状です。確かこの1年か2年くらい前からこうした家族のイラストの年賀状を作り続けて今に至っています。母親に抱っこしてもらっているのは、東京でラップミュージックをやっている息子、左端はカリフォルニアに住んでいる娘です。今の私の孫達より年下です。

イラストに描かれているバックはスイスのヴィンタートゥアという町に住んでいる友人宅の裏庭です。私の年賀状は実際に行っていないところが背景になることも多いのですが、ここは実際に行きました。10年くらい前にその友人を再訪しましたが、この庭から見えているちょっとした森やスイスの田舎風の建物はすでになく、鉄筋のアパートが建っていました。


バロック音楽の旅16第4回コンサート

2023年12月17日 20時40分12秒 | 音楽系

今日はバロック音楽の旅16第4回コンサートで、スピネットを上羽剛史さん、チェロを山下瞬さんに演奏していただきました。お二人ともこのシリーズ初登場です。

プログラムは以下の通りでした。

バルダッサーレ・ガルッピ (1706-1785)/アンダンテ

ヨゼフ・ダッラーバコ (1710-1/組曲第/組曲第カプリチオ第1番

ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ (1689-1755)/ソナタ第2番 Op.50 (1734) ラルゴ、アレグロ、ラルゴ、ジガ

ジョバンニ・バティスタ・ヴィターリ (1632-1692)/ルッジェーロ (c.1680)

ドメニコ・スカルラッティ (1685-1757)/ソナタ K.141

ジャック・デュフリ (1715-1789)/三美神

ピエトロ・ジュゼッペ・ガエターノ・ボーニ (1686-1741)/ソナタ第3番 Op.1 (1717) アレグロ、アダージョ、アレグロ

ルイ=クロード・ダカン (1694-1772)/かっこう

ジャン=バティスト・バリエール (1707-1747)/ソナタ第5番 (第1巻より) アダージョ、アレグロ、アダージョ、アレグロ

 

イタリアとフランスものを中心に組んでいただきました。スピネットは大きなチェンバロと比べると音量が小さいのでどうなのかなと少し心配でしたが、むしろ音量が小さい分チェロとのバランスがいいくらいでした。

お二人はヨーロッパでの留学を終えて、名古屋を拠点として各地で活動している俊英です。またこのシリーズにも出ていただこうかと考えています。今後が楽しみです。

次回は来年1月28日、ソプラノの増野友香さんとチェンバロの杉浦道子さんの演奏です。桑名市民以外の方も参加できますので、興味のある方はぜひお越し下さい。


ヴァーチャル・リュート構築のすすめ(8)

2023年12月16日 12時00分20秒 | 音楽系

まとめ2

★暗譜する

 覚えるのは、タブの文字そのものではなくて、どの弦をどう押さえ弾いていくかというビジュアルイメージとそれに結びつけられた音が出て曲が進行していくサウンドです。すなわち頭の中にあるのは前回のイで練習したものと同じです。イでは楽譜を見ていましたが、今度は楽譜を見ないで行います。

少しずつ進めて行きましょう。指やサウンドのイメージが出てこない、続かないといったときは、楽譜を見たり楽器で実際に音を出してみるのは全く構いません。

きちんと暗譜ができているかどうかの確認として、今度は暗譜した楽曲をタブに書き戻してみましょう。頭の中でちょっとずつゆっくり再生しながらタブを書いていくのです。実際のタブと書き戻したタブを比較して同じものであれば完璧です。もし暗譜したつもりが書き戻したタブがオリジナルと異なっている場合は、ヴァーチャル・リュートの構築が出来ていないことになります。前回の練習から再度がんばってください。

長い曲だと書き戻しに1時間くらいかかってしまう場合も出てきます。このヴァーチャル・リュート構築のために使う楽曲は、8小節、16小節くらいの確実に演奏できる曲(あるいは曲の一部)を使ってください。きちんと演奏できない曲を使うのはいけません。

前回のイ、つまり「楽譜あり楽器なし」の練習で曲の解釈、どのように曲を表現するかを深めることが可能です。「楽器あり」の場合と比べて指の技術的な制約がない→その分表現のために脳のリソースを多く使えるのでより良い演奏をすることが可能になります。

さらに暗譜ではもっと曲の表現内容を深めることが可能になります。そうした上で実際に楽器を持って演奏してみると恐らくうまく弾けず頭の中で作り上げた理想の音楽との乖離に気がつくはずです。そのギャップを埋めるのが練習です。音楽は指で作るのではなく、頭さらに言えば心・感性で作るものなのです。


★さらに発展練習として

初めて見るタブを、ヴァーチャル・リュートで演奏し(頭の中では音楽が聞こえています)それを暗記しながら曲を作り上げていき、それができあがった段階で実際に楽器を持って演奏してみるということができたらとても素晴らしいです。ただこれは完全にプロフェッショナルな領域ですので、これができなくとも悲観する必要は全くありません。でも少しくらいはチャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。ちなみにこういうことが出来る人をプロの演奏家といいます。出来ない人はプロではありません。


ヴァーチャル・リュート構築のすすめ(7)

2023年12月15日 12時21分38秒 | 音楽系

まとめ1

1)楽譜をきちんと読めるかどうか

2)楽譜に書かれている意図の通り、きちんと音を出すことができているか
◎このあたりは基本のキです。

3)左右の手元を見ないで演奏できるかどうか
◎左の指に関して、どの指が何弦の何フレットをどう押さえているかに集中します。
◎右の指に関して、どの指がどの弦を弾いているかに集中します。
◎そしてその音をしっかりと覚えるようにします。


★曲を練習する

ア 楽譜を見て止まらないで通るまで練習しましょう

イ 今度は楽譜を見て、でも楽器は持たず音を想像して練習しましょう。

◎頭で想像する音は楽器で出している音と同じ音(絶対音です。ニ短調の曲をホ短調で想像してはいけません)です。メロディだけじゃないですよ。バスも含んだサウンドのイメージです。もしそれが分からなければ楽器を持って確認してからまた「楽譜あり楽器なし」で。絶対音がわからないときは何度も楽器を弾いて確認しましょう。少なくともその日の練習セッション内では、ニ短調ならニ短調を覚えていることは可能でしょう。ただ明日の練習で音を聴かないでニ短調をイメージできるかは難しいかもしれませんが。

◎同時に左右の指を使っているイメージもしましょう。どの弦をどの指でどう押さえて、どの弦をどの指でどう弾いているか、というビジュアルです。このビジュアルはビデオで撮ったようなものではなく、フレットと弦の極く一部という極力そぎおとしたものです。それに左右の指の触覚イメージも加えて下さい


さてイの練習ができるようになりました。そうしましたらもう一度アの練習(楽譜あり楽器あり)をしてみましょう。ただし、今度はイで出来るようになった左右の指使いイメージも重ねつつ楽譜を見て演奏してください。音は想像ではなく、実際に出している音をよく聴いて下さい。イの練習が習得できていればもはや左右の手を見る必要はほとんどなくなります。もちろん例えば左手が4フレットから10フレットに移動するようなときチラッと指の行き先を見るのは構いません。もっともそのような曲をヴァーチャル・リュート構築のために使うべきではありませんが。

ここまでできるようになりましたら、ヴァーチャル・リュートが完成したことになります。次回は最終回です。発展練習として暗譜をしてみましょう。


名古屋は遅れている?

2023年12月14日 14時31分50秒 | 音楽系

某演奏家が名古屋近辺で行うコンサートのチラシを見ていましたら、「ガット弦を張ったリュート」伴奏のアルバムが名古屋の評論家による賞をもらったと言うことを高らかに書き立てていました。

まぁ、その演奏家が上手だということなんだということでしょうが、それにしてもガット弦を張ったリュートも受賞の対象になっているようで、今時どゆこと?って感じを受けました。

50年くらい前だったら、「古楽器」のコンサートだとか、「ガット弦を張っている」ということがアピールポイントになったかも知れませんが、それは黎明期のこと。今はガット弦を張ればアピールできるという時代ではありません。多分どなたかの差し金で名古屋の評論家が動いたのではとは思いますが、評論家氏も不勉強ですよね。

そのリュート伴奏をしている方は、私からはなんとも評論いたしませんが、何人かのアマチュア筋からは結構厳しい声、ボロカスに言っている声を聞いたことがあります。でもそれは所詮アマチュアの言い立て。もちろん私はそういった筋の勝手な批評には乗っかることはありませんが。

でも「古楽」は終わったという人もいる時代、ガット弦使用をアピールして、それに乗っかる批評家がいるなんて時代錯誤。名古屋は遅れているのか?するとそのアルバムの出来はどうなんでしょう。ひょっとして?聴いてみたくなりました。


バーチャル・リュート構築のすすめ(6)

2023年12月13日 09時07分58秒 | 音楽系

そしてその次に、

1.楽譜を見て曲を練習する
2.楽器を持たないで、楽譜だけ見て頭の中で演奏する(絶対音で行うように。ニ短調の曲をハ短調の音で頭の中で再生してはいけません。絶対音が分からない人はその都度確認を。そのうちある程度は頭に残るようになります)音が思い浮かばないときは、楽器で音を確認する
3.暗譜する
4.楽器を持たないで、楽譜も見ないで頭の中で演奏する。

5.その曲をタブに書いてみる
元の曲と同じであれば合格です。もし出来なかった場合は何度もトライしましょう。

この練習を繰り返し、ヴァーチャル・リュートの技法をマスターしたら、初めての曲を見て頭の中で音を出すことができるかチャレンジしてみましょう。本連載(1)の冒頭で書いた話です。ただ、これはかなり高度ですのですぐに出来なくても構いません。

これらの力をつけた場合は、人前で楽譜を見ながら演奏する場合では途中で止まって頭が真っ白というのは原理的にありえず、暗譜の場合も修復復帰がすぐできます。もっともリュートを弾くときは必ず楽譜を見て、必要な装飾やフレーズを入れるようにしましょう


犬との距離(3)

2023年12月12日 10時47分57秒 | 日々のこと

ただ決して犬そのものが嫌いであるわけではなく、住環境が許せば飼ってみたい気はあります。もちろん「犬観」は変えませんが。

娘が住んでいるカリフォルニアの田舎の家では巨大な秋田犬を飼っています。アメリカの家なので、「座敷」そのものはありませんが、彼女(前々回に書きました校長先生ではありません。飼っている秋田犬です)が入ってはいけない部屋はきちんとしつけられています。秋田犬はとても賢く飼い主に従順なのできちんとしつけを守ります。ただ時々守らないときもあり、そのときは叱られてシュンとしています。一応外には犬小屋もあったかな。

田舎なので敷地はめっぽう広く、塀に囲まれた中を勝手に走り回っています。家庭内ドッグランがあるわけです。ですから基本的には紐でつなぐことはせず、紐をつけるのは外出のときだけです。

餌はさすがに人間の残り物というわけにはいかず(なにせ巨大な犬ですから)きちんと肉を与えています。ドッグフードは与えていません。

もちろん服を着せたりするようなことはしません。カリフォルニアはそもそもそれほど寒くはなく、彼女のふかふかの毛はそれだけで充分寒さをしのげます。

結構ワイルド指向ですが、こういう飼い方なら私の「犬観」とぶつかることはないでしょう。ただ日本ではなかなか難しい。今住んでいるところでは無理ですね。