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分子生物学との出会いその2

2007年02月27日 | 仕事・研究
私は最初、PCRの原理もたいしてわからない状態で予研に行きました。そうしたら、こんな例題を出されたんです。

1ng/ul(ナノグラム/マイクロリットル)のプラスミドがあります。
プラスミドのサイズは14.9Kb(キロベース)。
1ul中に何コピーあるか計算しなさい。

PCRの陽性コントロールとして、あるウイルスの全長を組み込んだプラスミドを使うことになっていました。ウイルスを定量するため、このプラスミドを使って標準曲線を得ようというわけです。つまり、1コピー、10コピー、100コピー、という具合に希釈をしたかったのですね。

この計算はアボガドロ数を知らないとできません。1モル中に6.02x10の6乗コピーあるという計算です。また、1ヌクレオチドの分子量も必要です。ここでは330としました。二本鎖であることも忘れてはいけません。もし興味があれば計算してみて下さい。答えは6.1x10の7乗コピーです。

その時は必死でやってましたが、後で考えると「ウイルスのDNAをプラスミドに組み込むってどうやるんだろう?」まったくわかりませんでした。最低限の技術は習いましたので、さっそく自分の研究所で同じような実験を組むことは可能でした。でも、そのままやればなにか失敗しても解決できない。陽性コントロールはいつも誰かにもらわなきゃならない。自分で全部管理できるようにするにはどうしたらいいかと考えました。そこで、最初に予研に行くようにと言った上司にお願いして、阪大でさらに分子生物学の勉強させてもらうことになりました。そのことが後々の私の仕事を決定づけたのです。

本当にゼロから始めましたから、どこから手をつけていいかわからないほどでした。実験をやりながら、同時並行で本を読んで勉強しました。実際に手を動かしていなかったら、とうてい読めなかったと思います。そのときから後々まで、繰り返し読んだのが「ワトソン遺伝子の分子生物学」です。これから勉強する人にもお勧めします。

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