こんなにひどいことになるとは、まったく思ってもみなかった。
これまでの常識が当てはまらないウイルスである。
引き続きウイルスそのものの性状について、よく調べていかないといけないと思う。
今はまだわからないことが多いから、何事も断言はできないし、予想も立てにくい。
感染力がやたらと強い。宿主側の免疫がどうなってるのか、ということがあまりよく
わからない。わからないことが多いと、ヒトは怖がる。
わたしはHIVの仕事をしていたころ、怖さは全然なかった。
防護していたし、ウイルスがいる場所がはっきりしている。
しかも接触で簡単に感染するウイルスではない。
変異するウイルスで、薬に耐性ができやすいなど、いろいろ課題はあった。
しかし現在コントロールできうる感染症となっている。
新型コロナも、いずれはいろいろなことがわかる。
しかし、今はまだわからないことだらけなので、とにかくみんな怖がる。
感染症は、病因となる病原体が存在すること、
それが宿主に入り込める環境であること、
宿主側の免疫系で排除できないこと、
の3つがそろえば発症する。
逆に言うと、この3つがそろわないと病気にはならない。
私たちができることは、消毒の徹底と、自分の体の抵抗力を保つあるいは高めるということである。
免疫細胞が適切に働くためには、私たちはきちんと栄養を取る必要がある。
よく寝て、ストレスをためてはいけない。運動も大事。
体調が悪いければ家にいよう。そして、消毒にはエタノールが効く。
こんなことはすでに大勢の人が発信している。でも、改めて言いたい。
石鹸で手を洗う。
消毒の徹底。
体調管理。
感染症が減ってきて、みんなが病原体にルーズになっていた。
ちょっと前まで、感染症でたくさん人が死んだ時代があったのに、
最近は細菌学もウイルス学も公衆衛生学もなんだか日陰の身になっていた。
新しい病原体や、薬の効かない病原体はこれからも出てくる。
感染症について、正しい知識を多くの人に知ってもらいたい。
病原体そのものについても、よく知ってもらいたい。
正しい情報を得て、正しい判断ができるようにならないといけない。
そして、今回の件が終息したら、忘れてはいけない。
感染症は行政が中心に対策するのは当然だけど、
今みたいに行政だけでやろうとするのは無理がありすぎると考える。
もっと広い分野の人たちがつながれるしくみを作る必要があるのではないか。