私は去年仙台にやってきました。
その前はアメリカのメリーランド州というところに5年半くらい住んでいました。メリーランド州は、アメリカ
の首都であるワシントンDCをバージニア州とともに取り囲む形になっている、小さな州です。私は研究の仕事をずっとやってきましたが、このメリーランド州
にはNIHという有名な研究所があるので、日本人の研究者がたくさん住んでいます。私は農務省(USDA)の研究所で働いていたので、NIHのあるベセス
ダより少し南西にあるグリーンベルトという街に住んでいました。グリーンベルトは名前の通り緑の豊かな小さな町で、ルーズベルト大統領が計画して作った町
と聞いています。小さなショッピングセンターがあって、「ニューディールカフェ」というおもしろい店がありました。古き良きアメリカを彷彿とさせるかわい
らしい町でした。
私はアメリカに行く前はHIVの研究と、それから少しだけ動物のサイトカインの仕事をしていました。HIVの仕事を始めたのはまったくの偶然でした
が、そこから免疫の研究をしたいと思うようになりました。USDAではブタの寄生虫を使った免疫応答の研究に携わりましたが、最初の頃は言葉も不自由で、
とても苦労しました。外国で仕事をしてみたいというのはずっと昔からの夢でしたが、それは本当に大変なことでした。でも昨年日本に帰ることになったとき、
「アメリカでやりたかったことは全部やった。」と思えたほど、この5年半はすべてがチャレンジで、そして自分の中に大きな達成感をもたらしてくれました。