一昨日でしたか、イチローの話を書きましたが、いくら努力してきたことこそがイチローの才能だといっても、もともと持っている能力がそれ(努力)によって結実した、、、、と考えるのが普通だと思います。しかし、今読みかけの「
天才!成功する人々の法則」によれば、もともとの能力差ではなく、幸運な環境がその能力の開花をもたらしたのだということにかなり信憑性があるようです。まあまだ最後まで読んでいないので、結論を言うのは早いのかもしれませんが、特別なプログラムで特訓されれれば、人の能力は伸びていき、伸びた能力のゆえにまた「よい環境」が与えられ、さらにそこで能力が伸びる、、、、という好循環に入り込めると。
確かにその通りである、という具体例を私もいくつか思い浮かべることができます。周りがすごいと自然に切磋琢磨されてしまうんですね。学生時代、どっちかというと平凡だったAくん、Sさん、なぜかビッグラボでポスドクすることになったら急にいい仕事をするようになり、Nature Cell Scienceなどにばんばん論文を出すようになっている、、、!!というような現象はよくあるんです。本人の能力じゃなくて、ボスの能力でしょ、、、というのは簡単ですが、上の人の後押しってとても大事です。国際学会でしゃべるとか、座長を務めるとか、重要な委員会の委員をおおせつかるとか、そういう機会に人脈も増え、仕事の幅も広がっていきます。
しかしもちろん環境だけではだめで、そういう環境に身をおき、さらに自分の努力でそこで生き残っていく、ということが重要なのです。音楽のプロが1万時間をかけて練習してきているというようなことがこの本に書いてありましたが、うちの学生だって、2,3回実験して「うまくできない」なんていうのは言語道断で、毎日毎日ひたすら実験やって論文もひたすら読んで、そういうことを続けていってようやく「なんぼ」の世界であることは芸術やスポーツの世界とそう変わらないと思います。
そういうときに、周囲がのんびりしていて「そこまでやらなくてもいいんじゃないの」っていうようなところに身をおいていて自分だけ努力を怠らない、というのはやっぱりすごく難しいですね。イチローもメジャーリーグだからこそ発揮できた能力ってのがあると思います。
厳しい環境は確かにつらいし、能力以上を要求されてしんどいと思いますが、それに応えよう、と努力を続けていけば、きっともともとあったもの以上の結果がついてくると思います。まあだから、学生の皆さんには私の厳しい要求に歯を食いしばってきちんと応えていけば、想像以上の成長が待っているのだと、ちょっと考えてみてほしいですね。最後は懇願みたいになりました(笑)。