院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

仏教の深さ

2011-08-08 20:30:35 | Weblog
 仏教の本を少しかじった。そこで、仏教には深い思索があり、三蔵法師がわざわざ天竺まで仏典を取りに行って漢語に翻訳したのもうなづけた。

 仏教はキリスト教やイスラム教のように絶対の神を措定しない。そのために思索としての発展の余地があったのだと思われる。

 キリスト教は人間とは何かを追及しない。キリスト教の肝は「隣人愛」であって、すでに人間が前提とされている。だから、思索というより神学という屁理屈しか生まれなかった。

 イスラム教もアラーが絶対である。ここに哲学が発展したのか私は知らないけれども、何でも「神の思し召し」で片付けてしまうのはイスラム教徒の習性と言ってもよいとは、イスラム圏で生活した友人から聞いた。

 もっともコーランは、深い教えというより「生活の知恵」なのだそうだ。羊を捌く一定の作法が書かれているが、それは衛生思想がなかった当時に衛生的な捌き方を教えている。飲酒の禁止も同じようなところから出ているのだろう。

 我が国は一応、仏教国だが、だからキリスト教国やイスラム教国より優れているわけではないことは、みなさんご存じのとおりである。

 しかし、仏教の基礎となったインド哲学の深い考察の蓄積は、他の二宗教には見られないように思われる。