院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

強迫症は未開民族にも存在するか?

2014-02-02 06:15:18 | 医療
 強迫症という心の病があって、鍵やガスの元栓が必要以上に気になってしまう。外出時に玄関の鍵を閉めたかが気になって、何度も確認しなければ気が済まない。一度出かけても本当に閉めたかが気になって戻って確認するため、なかなか外出できなくなる。ガスの元栓を締めて寝るのだが、気になって何度も起きて確認に行くので寝不足になる。こういう症状を確認強迫という。

 手を洗ってもまだ汚れているような感じがして、また手を洗う。それでもまだ完全に汚れや黴菌が取れていないような気がして何度も手を洗う。自分でもバカらしいと思いながら、手が真っ赤になるまで洗わないと気が済まない。これを洗浄強迫という。わが国ではノロウイルスやインフルエンザの流行もあり、むかしから手洗いがしつこく奨励されている。それが洗浄強迫を生み出しているのではないか?

 こうした病は未開民族にも存在するのだろうか?未開民族の住居はワラ造りの掘っ立て小屋で玄関に鍵なぞない。食事どきに手を洗う習慣もない。そもそも何度も洗うほどの水がない。そうなると、強迫症の出番はないはずだ。

 強迫症は防犯や清潔が重視される先進国に特有の病ではあるまいか?未開民族のフィールドワークを行ったことがある学者たちに聞いてみたい。未開民族に強迫症が存在しないなら、強迫症は文明病ということになる。