
(薬事日報より引用。)
製薬会社が「神経障害性疼痛」という言葉を普及させようと、テレビで宣伝している。「疼痛」が「炎症性」でなければ「神経障害性」だから、「お医者さんに相談しましょう」という。「神経障害性疼痛」なんて同語反復で意味が分からない。
製薬会社がこのような宣伝をするのは、リリカという鎮痛剤を売りたいためだ。リリカは、確かにもう治ったはずの帯状疱疹後のしつこい疼痛に効くことがある。炎症性ではなく、原因不明の疼痛は世の中には多い。そうした現状をうまく捉えて、「神経障害性疼痛」という初耳の言葉をどこからか持ってきて、リリカを売ろうとする魂胆だ。
薬にはプラセボー効果というのがあって、「効くぞ」と言われると本当に「効いて」しまうものである(2013-06-26)。リリカのプラセボー効果を狙って、「神経障害性疼痛」という耳慣れない用語を宣伝するのは、あざといという他はない。原因不明の疼痛がある人はみな「自分は神経障害性疼痛なんだ」と考えてしまうだろう。
「神経障害性疼痛」という曖昧な「病名」を保険病名として認めた厚労省も厚労省である。昔からアリナミンを医薬品と認めて、インチキで非科学的な宣伝をとがめないのだから当然か?(2013-08-07)。(もっとも、アリナミンに健康保険が利くのは、飢餓や脚気などの本物のビタミンB1欠乏症だけで、眼精疲労や肩こりでは健康保険は利かない。そこはさすがに厚労省も押さえているが・・。)