院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

飛行機に乗れない人は、ふつう高所恐怖症ではありません

2015-03-04 05:21:32 | 心理

(DHC-8-201型機の内部。ORCのHPより引用。)

 自分は「高所恐怖症」だから飛行機に乗れないとおっしゃる人がいます。でも、その人はまず「高所恐怖症」ではありません。

 そういう人がダメなのは必ずしも高いところではありません。「自由に降りられない場所」がダメなのです。そのため、その人は地上の新幹線や特急などの停まらない列車でもダメなはずです。

 狭いところ、すなわち小さい自動車、エレベータなどがイヤな人には、しばしば「閉所恐怖症」の人がいます。「降りられない恐怖症」と「閉所恐怖症」は鑑別が困難な場合があります。(自動車でもスムーズに走っていればよいが高速道路で渋滞になったりすと、その場で降りられないので強い不安に襲われタイプの人は、純粋な「閉所恐怖症」ではなく「降りられない恐怖症」のほうかもしれません。)

 以上のような「恐怖症」は神経症レベルの軽いもので、数も多いです。しかし、ほんものの「高所恐怖症」は神経症レベルを超えていることがあり、上に述べた「恐怖症」より珍しい病態です。


※今日、気にとまった短歌

  誰もみな眼(まなこ)優しき人となるそれを見に行く動物園へ (名古屋市)加藤武朗