院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

大学の大衆化と奨学金の矛盾

2015-03-11 03:38:45 | 教育

(安田講堂。東京大学キャンパスライフより引用。)

 現在、大学進学率は約50%で、大学生の総数は250万人程度とされています。(私たちのころは大学進学率は10%程度でした。)

 先日の報道では、無利子奨学金利用者が46万人、有利子が87万人だそうです。計133万人ですから、大学生の2人に一人が奨学金を借りていることになります。

 私たち団塊の世代が大学生のころ、国公立の学費は年額12,000円(月額1,000円)でした。それでも奨学金をもらっている学生がいました。

 私たちが卒業してから数年後に、国公立の学費は年額30万円ほどに急騰しました。今では国公立年額82万円、私立131万円です。これでは奨学金は絶対に必要になり、卒業時に800万円も借金をかかえている学生がいるといいます。

 大学の大衆化といいますが、借金で縛られた学生を大量生産しているわけですね。これは異常です。

日本はアメリカと並んで世界トップクラスの学費が高い国です。学費が高くても大学だけは出ておこうという人が多いのは、大卒初任給が高卒初任給より高いのが大きな原因です。これまで「大卒」はブランドでしたが、大衆化によって今後、大学名によってはかえって「逆ブランド」になりえます。

 大卒初任給、高卒初任給という分け方がすでに古いのです。これからは大卒高卒は問われず、会社ごとに勝手に初任給が決められるようになっていくでしょう。つまり、大卒の初任給が高卒初任給と同等にならないと、(「逆ブランド」でさえ一定の価値があることになり)借金まみれ学生の生産と就活地獄が続くことになってしまいます。それがイヤなら他の(アメリカ以外の)先進国並みに大学の学費を安くする必要があるでしょう。

(もっとも若者に、一見無駄に見える大学生活というモラトリアム期間を与えないと、長い目で見れば日本の文化レベルが落ちてしまうかもしれませんが・・。難しいところですね。)


※今日、気にとまった短歌

  もたついて電車のキップ買う我を微笑みながら許す青年 (愛知・幸田)吉口三男