
(ウサギ。ウィキペディアより引用。)
イヌもネコもウサギもみな四つ足である。幼児はこれらをみな「ニャンコ」と呼ぶ。
そこに「イヌ」「ネコ」「ウサギ」という単語が入ってきて初めて、これらは区別されるようになる。本稿で言いたいのは「現実の分類に先立って、言語による分類がある」ということで、その逆ではないという点である。
たとえば「心身」といい「こころとからだ」という。この場合、実際の「心」や「身」が、あらがじめ存在しているわけではない。言葉のほうが先にあったのだ。「心身」を分けたのは現実ではなく、まず言葉だった。
したがって「心身問題」を「心」の側から研究しようが「身」の側から研究しようが、それらは恣意的であり、あらかじめ「心」と「身」が分けられて存在していたのでは決してない。「心身」を分けたのは人間の勝手に過ぎないのである。
※今日の狂歌
その犬はボロ布めきて痩せこけて餓鬼のごとくに菓子パン食らう
中里ひとし(愛知県)