院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

じっさいの分類に先立って言葉による分類があった

2017-11-04 00:02:47 | 日本語

(ウサギ。ウィキペディアより引用。)

 イヌもネコもウサギもみな四つ足である。幼児はこれらをみな「ニャンコ」と呼ぶ。

 そこに「イヌ」「ネコ」「ウサギ」という単語が入ってきて初めて、これらは区別されるようになる。本稿で言いたいのは「現実の分類に先立って、言語による分類がある」ということで、その逆ではないという点である。

 たとえば「心身」といい「こころとからだ」という。この場合、実際の「心」や「身」が、あらがじめ存在しているわけではない。言葉のほうが先にあったのだ。「心身」を分けたのは現実ではなく、まず言葉だった。

 したがって「心身問題」を「心」の側から研究しようが「身」の側から研究しようが、それらは恣意的であり、あらかじめ「心」と「身」が分けられて存在していたのでは決してない。「心身」を分けたのは人間の勝手に過ぎないのである。

 ※今日の狂歌
   その犬はボロ布めきて痩せこけて餓鬼のごとくに菓子パン食らう
   中里ひとし(愛知県)