(つり人社のホームページより引用。農耕でこのような雑誌はあっても数少ない。)
釣りやハンティングは趣味である。すなわち遊びである。
わが国では銃への忌避感から最近ではハンティング人口は減ってきたが、私が子どものころには猟銃を持っている人がたくさんいて、隣りのおじさんから獲物のカモやウサギをいただいたこともある。
現在では釣りは国民的なホビーで、関連雑誌、釣り道具、釣り船などを合計すれば一大産業をなしている。
狩猟採集時代にはハンティングや釣りは遊びではなく仕事の部類だった。獲物を獲得しなければ即、生命が脅かされる環境だった。だから狩猟は切実な行為だったし、獲物が得られれば喜びは格別なものだったに違いない。そのため当時、狩猟採集は農耕ほどには苦役ではなかった。
現代の農耕社会でも、人間はただちに食べられる獲物を本能的に狙うのではないか?だから、ハンティングや釣りはめくるめくほどに面白いのではないか?
農耕は半年先の収穫をイメージする気の長い営みである。だから、本当は生物としての人間に適した作業ではなかったのではないか?農耕の発明により「仕事は苦痛」という考え方が生まれたのではないか?
農耕が発明されるまでは、上述のように生きていくための狩猟採集という行為はけっして純粋な苦役ではなく、遊びのような感覚を帯びていた。現代人が釣りにこれほど惹かれるのは、狩猟採集時代の本能的な喜びが呼び起されるからだと思われる。
すなわち、農耕の発明によって「仕事」という苦役も同時に発明されたのだ。