院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

死亡前6か月の医療費が健康保険支払額全体の40%!?(供養その2)

2014-12-12 06:00:01 | 文化

(ICU(集中治療室)。九州大学医学部のHPより引用。)

 死にそうな患者さんには医療者はあらゆる手を尽くします。少しでも救命に役立ちそうな治療法をダメモトで次々と投入します。高価な薬も使用します。

 そのため、死亡直前の医療費は膨大なものとなります。たとえばICU(集中治療室)の使用料は一週間以内なら一泊13万6,500円です。

 健康保険の支払基金は死亡直前の医療行為を査定することはめったにありません。(査定とは、不必要だと支払基金が考えた医療費を病院側に支払わないことです。)

 死亡直前に過剰診療をやって病院が儲けているという批判がありますが、それは的外れです。病院が儲けても、医者の給料が増えるわけではありません。

 では何のために濃厚な医療を行うのかというと、それは供養なのです。支払基金が査定をしないのも、これまた供養です。最期に多額の費用をかけ、請求書が何百万円にものぼることが供養だとは、分かる人には一発で分かるでしょう。死亡後の請求書が数万円だったら、遺族はどう感じるでしょうか?

(医療費がいくらかかっても「高額療養費制度」により、多くの場合8万円強以上かかったぶんは戻ってきます。それが健康保険財政を圧迫しているという指摘があるのは承知していますが、それと供養とは別次元の問題でしょう。なお終末期医療費は言われるほど高くはないとする意見もあります。)

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