院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

文字言語の発明

2017-11-15 07:07:49 | 文化

(語族の分布。ウィキペディアより引用。)

 世界には8,000もの言語があるらしい。うち文字表現をもっているのは、わずかに17言語だという。(ちょっと少なすぎる感じがする。たとえばドイツのドイツ語とスイスのドイツ語圏のドイツ語は互いに通じないのに、ひとつの文字表現としてカウントしているのだろうか?)

 いずれにせよ文字表現をもったことは革命的で、文字表現は文化を著しく進展させた。日本の場合、百済から1,000年以上も前に「千字文」が伝わってきたことは幸運だったと言わなければならない。これにより稗田阿礼のような口伝者が不要となった。

 日本では漢字を音として捉えたが、古代中国は違っていた。古代中国では漢字を音ではなく形として広めた。つまり「東」は音でなく「ひがし」を表す記号として広めた。そのため、まったく違う言語の民族に中央の意思を伝えることができた。(それにより広大な面積を支配できた。)

 言語もいろいろだと感心させられる。

 ※今日の短歌
   絵手紙に描かれたカツオ淡墨の光る背びれに初夏の輝き
   井上紀子(東京都)

「自分らしく」とはどういう意味か

2017-11-15 00:05:57 | 日本語

(西野カナ。オフィシャルFaceBoock より引用。)

 映像がないのは寂しいから、ここでは西野カナの写真を載せた。でも、彼女の歌だけではなく、多くのポップスに「自分らしく」という用語が出てくる。

 「人まねでなく」「かりそめでなく」といった意味だろう。だが「自分らしく」があまりに頻繁に使われるのが私には苦になって仕方がない。

 言葉はもっと惜しんで使用すべきだと思うから、あえて言ってみた。

 ※今日の短歌
   紫陽花がだんだん淡い色になり夏のこどもが紛れはじめる
   漕戸もり(愛知県)






世評は移ろう

2017-11-14 06:40:37 | 心理

(四日市のコンビナート。Printest工場より引用。)

 私は中学生のとき写真に凝って、中学では写真部にはいっていた。朝から晩まで暗室にこもって現像や焼き付けをしていた。

 当時「アサヒカメラ」という趣味の雑誌があって購読していた。素人の応募写真をランク付けするコーナーがあり、あるとき四日市のコンビナートの写真が一等賞になった。講評には「コンビナートの勇壮さが感じられる」とあった。

 四日市のコンビナートが突然、批判され始めたのは、それからわずかに2か月後だった。私はそのとき初めて世評の移ろいやすさを知った。

 いま北朝鮮が批判の的になっていけれども、これだってどうなるかわかりゃしない。将来、北朝鮮は孤軍奮闘でアメリカや日本と対峙したと、好意的に評価されるときが来るかもしれない。

 ※今日の短歌
   氷塊はくろぐろとして眠りをり夜寒のわれに酒を注がしむ
   田上運棹(兵庫県)


戦争反対を叫ぶのは今だ!

2017-11-13 09:22:04 | 社会

(3隻の空母による共同演習。YAHOOニュースより引用。)

 安倍首相やトランプ大統領が、北朝鮮に圧力をかけろとアジア諸国や中ロを説いている。その次は追い詰められた北朝鮮が、潜水艦などで日本の原発などを魚雷攻撃して戦争でも起こりそうである。

 私たちの世代は、第2次世界大戦を戦った父親世代を「なぜ戦争に反対しなかったのか」と責めた。以前もここで言ったが、父は戦後2年間もシベリアに抑留され、辛酸をなめた。

 当時の日本も経済封鎖を受けていた。その挙句に戦争に踏み切った。戦争反対と口で言うのはやさしいが、経済封鎖を突破するには戦争はひとつの道だった。

 もし北朝鮮と戦争になったら、われわれは後年「なぜ戦争に反対しなかったのか」と問われる立場になるだろう。戦争とはどうにもならずに起こるものである。私は次の山本夏彦翁の言葉が好きだ。「春秋あるべし自然なら」。

 ※今日の短歌
   閼伽棚(あかだな)にペットボトルの氷水注して炎暑を亡き子と語る
   國友道治(兵庫県)

ついに行けなかった銀座の高級レストラン、マクシムドパリ

2017-11-12 10:33:54 | 食べ物

(銀座レストラン・マクシムドパリ内部。食べログより引用。)

 H君とは中学生のときからの親友だ。今でも付き合いがある。

 私もH君も結婚したら、4人で銀座の高級レストラン、マクシムドパリで食事をしようと高校生のころ話していた。

 H君の結婚式には呼ばれた。しかし青壮年期は2人とも忙しく、私はH君宅を訪問したこともなく、したがってH君の奥さんと会話したこともなかった。

 そんな中、今年になってH君の奥さんが急逝されたとの報が入った。4人でマクシムドパリに行くことは、ついに実現できなかった。

 家内と2人でマクシムドパリに行こうかと考えて調べてみた。そうしたら銀座のマクシムドパリは、このほど閉店するという。私はマクシムドパリによほど縁がない男だと思った。

 今後、万一私がパリに行くことがあったら、パリのマクシム本店に行こうと考えている。しかしながら、私が今後パリに行く可能性はきわめて薄い。要するに私はレストラン・マクシムとは無関係な人間だったのだ。

 ※今日の短歌
   繰り返す制圧に耐え早春のプラハの街に淡彩(たんさい)冴える
   川端直人(兵庫県)


私が電子メールを嫌うわけ

2017-11-12 00:05:03 | 日本語

(ラインスタンプ。無料スタンプより引用。)

 「どこそこに何時に集合」といった用件だけならEメールでもよいだろう。だが、感情を伝えるのはEメールでは無理がある。ラインスタンプをいくら使用してもダメだ。

 武士同士が会うこともなく、手紙だけで交流していたとして、ちょっとした誤解から斬り合いになってしまうこともあったらしい。ラインによる交流でも仲間外れとか意地悪があるというではないか。

 手紙では実際に会うのと情報量が違い過ぎる。だから、手紙のルールが編み出されてきた。それを子供たちに教えないからライン如きでトラブルが起きる。

 まず時候の挨拶から始まり、「そうろう文」で相手を尊ぶ。それが「型」というもので、まず「型」を学ぶべきである。文章のみならず、絵でもスポーツでもまず「型」が重要であることを強調しておきたい。

 ※今日の短歌
   彼の人のことば時には思ほえど年々すがたの淡くなりゆく
   林邦子(埼玉県)

子どもに春歌を歌わせるか?

2017-11-11 00:33:53 | レジャー

(歌川広重「梅に鶯」。ウィキペディアより引用。)

 山形県に「真室川音頭」というのがある。わたしゃ真室川の梅の花、あなたまたそこへくる鶯よという歌詞である。

 梅の花は女性器を表し、鶯は雄を示した軽い春歌とも言えるだろう。もとは労働歌だが。

 絵の素材としても歌川広重の絵が有名である。

 幼い私がこの歌を上手に歌うので、祖母は友人仲間の前で私に歌わせ、喝采を浴びた。それを父が怒った。「うちの子は芸人じゃない!」と。

 当時はなぜ父が怒ったのか理解できなかったが、いまなら父の気持ちがよく分かる。

 ※今日の短歌
   髪結うてほんのりリップで「こんにちは」兄の友だち遊びに来る日
   坂庭悦子(栃木県)

グラビアとはなにか?

2017-11-10 04:03:12 | 技術

印刷博物館。ウィキペディアより引用。)

 週刊誌の見開きのアイドル写真が「グラビア」ではない。あれはグラビア印刷の謂いであり、グラビア印刷という印刷法が写真の再現に適しているから「グラビア」と称せられるようになったのだ。

 ところが、最近の写真印刷は往時のグラビア印刷よりも、従来からあった凸版印刷のほうが勝るようになった。

 そのため、週刊誌見開きのアイドル写真は、げんざい凸版印刷で印刷されている。要するに「グラビア」というのはじきに死語となるだろう。

 ※今日の短歌
   さくさくと崩す氷のその下に夏のいらいら沈みゆきたり
   井上博計(兵庫県)

ことごとく渋柿なのはなぜか?

2017-11-09 08:16:37 | 食べ物

(柿、ウィキペディアより引用。)

 町中になっている柿がことごとく渋柿なのは、それを食う鳥や獣がいないからではないか?

 渋柿でも干し柿にしたり樽柿にすればおいしく食べられる。人間はそうやって渋柿を加工した。

 私が幼いころ、干し柿や樽柿はごちそうだった。私の住む地方の近くには渋柿を干し柿に加工して一大産業としている地域がある。とてもうまいが、ナマの甘柿よりかえって高価である。

 ※今日の短歌
   恐竜の絶滅したる氷河期の如く冷たき思春期があり
   正岡純子(愛知県)

長寿の秘訣は?という愚問

2017-11-08 15:49:58 | 社会

(きんさんぎんさん。ミドルエッジより引用。)

 長寿者に対してありがちな愚問の代表として「長生きの秘訣は?」というのがある。そんなことは当人にも分からない。

 まじめな長寿者は「何々を食べるから」など、当たり障りのない答えを言うよりほかはない。

 だが、確率論や正規分布を知っている人なら「偶然だ」と答えるだろう。極端に大きな事象はがんらい少ないのである。

 ※今日の短歌
   氷見(ひみ)からの寒鰤着いた近江町ここしばらくは雪も華やぐ
   田中新一(滋賀県)

私にとって無用の宅配便ボックス

2017-11-07 15:43:45 | 生活

(宅配便のきつい作業。日経電子版より引用。)

 玄関の外に宅配便ボックスを取り付ける家が増えている。まず、宅配便配達人のために再配達を減らす思いやりが一つの目的。もう一つは一刻も早く荷物を手に入れるためだ。

 しかしながら、私にとって宅配便の一番のメリットは、荷物をトラックから玄関の上がりかまちまで運んでくれることである。スーパーで買い物をしていた時代には、それを自分でやらなくてはならなかった。

 たとえ玄関の外に宅配便ボックスを設けても、上がりかまちまで運ぶ労力はスーパー時代と変わらない。腰痛があったり荷物が重い時にはたったそれだけの運搬でさえきついから、上がりかまちまで、というサービスはありがたいのだ。

 この捨てがたい長所を、あまり言う人がいないので言ってみた。

 ※今日の短歌
   アイスキューブを乗せれば味のひきしまる素麺文化を持てる幸せ
   藤掛宏子(愛知県)

じっさいの分類に先立って言葉による分類があった

2017-11-04 00:02:47 | 日本語

(ウサギ。ウィキペディアより引用。)

 イヌもネコもウサギもみな四つ足である。幼児はこれらをみな「ニャンコ」と呼ぶ。

 そこに「イヌ」「ネコ」「ウサギ」という単語が入ってきて初めて、これらは区別されるようになる。本稿で言いたいのは「現実の分類に先立って、言語による分類がある」ということで、その逆ではないという点である。

 たとえば「心身」といい「こころとからだ」という。この場合、実際の「心」や「身」が、あらがじめ存在しているわけではない。言葉のほうが先にあったのだ。「心身」を分けたのは現実ではなく、まず言葉だった。

 したがって「心身問題」を「心」の側から研究しようが「身」の側から研究しようが、それらは恣意的であり、あらかじめ「心」と「身」が分けられて存在していたのでは決してない。「心身」を分けたのは人間の勝手に過ぎないのである。

 ※今日の狂歌
   その犬はボロ布めきて痩せこけて餓鬼のごとくに菓子パン食らう
   中里ひとし(愛知県)

藤田六郎兵衛(ろくろうびょうえ)氏、修善寺公演

2017-11-03 12:05:32 | 音楽
 家内に無理に誘われて、藤田六郎兵衛氏の修善寺公演に行きました。氏は室町時代から続く能の囃子方家元で、家内の能管の師匠でもあります。



 道中の新幹線車窓より。富士山は初冠雪があったのですが、この2回の台風のためか冠雪は消えていました。



 会場は修善寺の豪華な旅館。お1人様8万円は痛かった。料理はいまいちでしたが部屋がすごかった。18畳2間で前室や浴室は別にある。その上、能舞台がある。病み上がりで、ひどく疲れた一泊旅行でした。



(上の動画は私の下手なビデオです。音が小さいので大きくしてお聴きください。下に提示したのがほんものの録音録画です。)



 ※今日の狂歌
   冷房が効きすぎなんてうるさいな父さん祖父さん逝きし酷暑日
   中里ひとし(愛知県)    

ゲートボールの盛衰

2017-11-02 22:20:49 | スポーツ

(ゲートボール風景。ウィキペディアより引用。)

 ゲートボールが高齢者用スポーツとして流行したのは昭和50年台だった。

 高齢者用スポーツというのは、それまでなかった。ゴルフは金がかかり過ぎるし野球は運動量が多すぎた。ゲートボールは恰好の競技として飛びつくシニアが多かった。専用のコートがほうぼうに造られた。

 しかしながら、どんなスポーツでも若者にかなうわけがない。大学にゲートボール部ができると、ゲートボールで高齢者が勝つことはありえなくなり、やがてすたれた。

 高齢者をターゲットにした商法は秀逸と言えた。現在では、むかしのゲートボール場が草に覆われて侘しく残っているだけだけれども。

 ※今日の狂歌
   犬啼くは不安恐怖があるからだ殴ってやりたい犬の飼い主
   中里ひとし(愛知県)

中国が反日的となったわけ

2017-11-01 10:26:54 | 歴史

(天安門事件の1シーン。ウィキペディアより引用。)

 田中角栄と周恩来の日中国交正常化いらい、両国は友好関係をたもった。中曽根総理の時の中国主席、胡錦涛はとくに親日的だった。二人の蜜月は胡錦涛が死ぬまで続いた。胡錦涛は鄧小平の眼鏡にもかなっていた。

 しかし天安門事件が起きると、鄧小平は胡耀邦を批判した。そして、これまでの教育が自由過ぎたと路線を変更し、反日教育を行うようになった。これが現在まで続いている。天安門事件以後の子どもはみな反日教育を受けている。

 国をまとめるために外部に敵を作るのは常套手段である。天安門事件いらい中国は反日的となった。以上が私の中にある(きわめて単純化された)図式なのだが、どうか?

 ※今日の短歌
   田に張れる氷を割りて泥鰌掘るわれ小作農の次男坊なり
   黒澤正行(福島県)