何かしらタイピングをしている途中、金属でできたオープンリールを巻き取るような音に合わせて、左手を通して伝わる振動がある。パソコンが動くための大切な器官、ハードディスクがおそらく底に格納されている。壊すのが恐ろしくネジを抜いて蓋を開けてみたことはないのだけれど、あまりに速くたくさん回転している時は人間と同じで、使いすぎた神経のように細かく激しくふるえているのがわかるので、そこにあるのだろう。回転と信号をうまい具合に組み合わせて機械は動いている。
コンピュータとしてはもう寿命で、起動するたびに古いMDをコンポにかけたときのようなかすれた音を立てながら、いっしょうけんめいに命令を実行する。時間はずっとかかるようになった。起動させてすぐにソフトウェアを使おうとすると、まずツールバーにそのソフトウェアの名前が表示される。「ちょっと待って下さい、これをやればいいんですよね」と命令を確認して、「私はこれを覚えています。やろうとしています」と看板をかかげる。たとえばメールを送ろうとソフトを起動させると、まずそのソフトウェアの準備ができるまでに3分、たまったメールを受け取るまでに2分、「新規作成」ボタンを押してメール作成用の画面をもうひとつ出すのにまた2分、たまたまウィルスソフトの更新作業にかちあうとさらに時間が加わる。必死なのだとほほえましくなる。一旦起動すればきちんと動いてくれることがわかっているので、電源をつけて使いたいソフトウェアのボタンをいくつか押して、しばらくほっぽらかしておけば用事を済ませて戻ってくるころには準備が終っているのだ。そしてそのころには規則正しく吐き出される息のようなファンの音だけがしんしんとパソコンから響いている。呼吸が整ったあとは同時並行の作業も平然とこなしてくれる。えらいなあと思う。(さすがに動画などのダウンロードには息切れするようだけれど)
息切れとか吐き出すとか、だんだんと音が呼吸になっている書き方をしているけれども、愛着があるから人のように思えているわけでもなく、コンピュータが動くためには空気の流れが必要で、涼しい空気を取り込み電気で熱くなった空気を排熱する仕組みがあるというそれだけのことなのだ。「竹中さん」という名前はあるけれども。
コンピュータとしてはもう寿命で、起動するたびに古いMDをコンポにかけたときのようなかすれた音を立てながら、いっしょうけんめいに命令を実行する。時間はずっとかかるようになった。起動させてすぐにソフトウェアを使おうとすると、まずツールバーにそのソフトウェアの名前が表示される。「ちょっと待って下さい、これをやればいいんですよね」と命令を確認して、「私はこれを覚えています。やろうとしています」と看板をかかげる。たとえばメールを送ろうとソフトを起動させると、まずそのソフトウェアの準備ができるまでに3分、たまったメールを受け取るまでに2分、「新規作成」ボタンを押してメール作成用の画面をもうひとつ出すのにまた2分、たまたまウィルスソフトの更新作業にかちあうとさらに時間が加わる。必死なのだとほほえましくなる。一旦起動すればきちんと動いてくれることがわかっているので、電源をつけて使いたいソフトウェアのボタンをいくつか押して、しばらくほっぽらかしておけば用事を済ませて戻ってくるころには準備が終っているのだ。そしてそのころには規則正しく吐き出される息のようなファンの音だけがしんしんとパソコンから響いている。呼吸が整ったあとは同時並行の作業も平然とこなしてくれる。えらいなあと思う。(さすがに動画などのダウンロードには息切れするようだけれど)
息切れとか吐き出すとか、だんだんと音が呼吸になっている書き方をしているけれども、愛着があるから人のように思えているわけでもなく、コンピュータが動くためには空気の流れが必要で、涼しい空気を取り込み電気で熱くなった空気を排熱する仕組みがあるというそれだけのことなのだ。「竹中さん」という名前はあるけれども。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます