大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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議案 造るほど、使わない区民も負担が増える、大田区の不公平な施設使用料

2025年03月06日 | 公共施設整備

今回の議会に4年ごとに見直す、施設使用料改定の議案が提出されました。

区は、施設を使う人は、施設を使うことで利益を得ているのだから、使うと使わない人との間の公平性を保つ=受益者負担の公平性、という考え方で、改定料金案を出しました。

確かに、そこだけ切り取れば、もとになる施設建設・維持管理費が適正なら、【公平】になるかも知れませんが、そこには、大きくは、2つの視点が欠けています。

一つは、適正な総量の考えが無いため、作り過ぎれば、過剰な負担を強いられること。
もう一つが、施設を使い利益を上げる事業者が、事業をする上で、誰もが必ず負担している施設使用料を負担していない問題です。

そうなると、施設の管理運営において、過剰な利益を得ているかも知れないけれど、そこを不問にしている問題です。


以下、討論の原稿と区の施設使用料改定の考え方です。

 

http://nasurie.com/wp/wp-content/uploads/2025/03/b13e9a69861d4cbd37bb1a1219f3b523.pdf

 

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施設使用料の改定について反対の立場から討論いたします。


施設使用料の見直しは、受益者負担の適正化の視点から、施設サービスを利用する人と利用しない人との公平性の視点で原則、4年ごとに行っているものです。


対象施設を、同様のサービス提供が民間では困難か可能かで、公共性と市場性に分け、

また、大半の区民が必要とする施設を
必需性、個人の価値観や嗜好の違いに応じ選択的に利用する施設を選択制としてわけていて、

今回の改定の対象は、選択制があり、公共性が高い施設と、選択制があり、公共性が中程度の施設です。


区は、施設使用料を施設を使用する人と、使用しない人の公平性で算定しています。

前提となる経費計算が適正とするなら、
使う人にご負担いただくと言う考え方は、使わない区民から見れば公平です。


ところが、施設をたくさん作れば、使う人は、使用料を払い公平な負担をすることになりますが、使わない区民は、作れば作るほど、使わないのに税負担が大きくなります。

区は、公共性を高い、中程度、市場性が高い、と分けていますから、大田区は市場性が高く公共性が低い施設建設を行っているという事です。

作るほど負担は増えますし、公共性が低い施設をつくれば、そこにも使わない区民は負担しなければなりません。

しかも、現時点の税収や人口や産業構造や経済状況が、今後変われば、税や使用料の負担感も重くなります。


総量が適正かどうかの判断をせず、大田区が考えている施設サービスを利用する人と利用しない人との負担の公平性だけで、料金負担を決めても、受益者負担の適正化にはならないので反対です。


しかも、区が、使用する区民の使用料を減免すれば、その分も使用しない区民が負担することになります。

一方、区が、使用料を引き上げても、利用者数はあまり変わらないと説明しています。

こうした貸し施設が身近に無いうえ、あったとしても非常に高額だからです。


民間の貸し会議室などの使用料より公共施設使用料が安い限り、作れば利用する区民はいると思われますが、作れば、使わない区民の負担は重くなるばかりです。

適正規模、あるいは、区民負担から見た適正な総量規制がなければ、公平性は保てません。


しかも、受益者負担の適正化と言いながら、受益者を使用する区民と使用しない区民という二つだけに限定しているのも問題です。


この施設を単に管理運営するだけでなく、利益を上げている指定管理者や指定管理者から受託している事業者、施設管理を受託する事業者がいるからです。


せせらぎ館でカフェを営業する事業者は指定管理者からまた借りして営業し利益を上げていると思われますが、施設使用料は払っていません。

そもそも、指定管理者制度という仕組みは、公の土地の上に建てられた建物を使用し営利事業を行っているにも関わらず、上下分離、コンセッションというしくみで、運営権を得ていて、資本負担がありません。

仮に家賃を払わなくて良いしくみだとしても、施設の資本経費や維持管理に相応する負担や指定管理料での調整がなければ、その分利益率の良い仕事になります。

ところが、施設の資本経費や維持管理費が、どれくらいなのかも、正確に区民は知ることができませんから、適正な利益率に基づく指定管理料かどうかもわかりません。区民の税金で高い利益率の仕事をつくるのが民営化なら、これが格差の拡大の原因の一つになります。


施設をつくれば、使用する区民は市場価格より安く施設を使えますが、使っているのは一部の区民で、その他の大勢の区民の税負担があるから、建設費や維持管理費をまかなうことができます。


物価の高騰に追いつかず、手取りが減る中で、区民にすれば、少しでも税や社会保険料負担を減らしたい気持ちだと思います。


今、つくる施設を将来維持する人口は減るとわかっていながら、
必要だからと新しい施設をつくり、
床面積を増やし、
大規模な改修をし、

そのたびに歳出は増え、
それが、使用料に跳ね返り、
使用しない区民は公共性があるのだからと税負担させられるのはおかしいと思います。


大田区は公共施設整備計画の中で、床面積を抑制すると言ってきましたが、減りません。

しかも、余って基金に貯め込むほど取り過ぎた税金をここにきて集中的に公共施設整備に使い、さらに物価高騰へ誘導しているのです。

区民に負担を押し付けないでほしいと思います。反対です。

 

 

 

 

 

第45議案大田区老人いこいの家条例の一部を改正する条例


今回の受益者負担の公平性からの改定の問題点について、いくつか指摘させていただきましたが、
この条例で指摘すべきは、第6条の1で無料で使用するとうたわれていることです。


老人いこいの家は無料が原則で、利用の実態としていつでもだれでも無料で予約なく使えるのが施設の設置条例の趣旨だと思います。

高齢になれば、働けなくなり、収入が無かったり減ったりするうえ、地縁血縁も減りますから、人とのつながりの機会を持つことが大切だからだと思います。

ところが、12月の総務財政委員会に報告されている施設使用料の考え方に、必需性があり、公共性が高い施設は、公費負担100%で受益者負担0となっていますが、この老人憩の家は例示されていません。

公園も図書館も部屋を貸したり、占用させることもありますが、無料の施設に位置付けているのですから、無料の施設としてしっかり位置付けるべきです。


そのうえ、公園は、法律で、公共空間と位置付けているにも関わらず、法令改正により、営利目的で営利企業に使用許可権限をあたえ、事前に予約し料金を支払わなければ利用できない部分が増えています。

せっかく条例で無料の施設が、
・貸し館のように使われるのも、
・貸し館の減免が常態化するのも、

施設本来の目的と違いますから、広く、高齢者の居場所として機能することを求め、受益者負担からの料金改定には反対いたします。


 

第63号議案 大田区立学校校外施設設置条例の一部を改正する条例も、

受益者負担の適正化の視点から利用料金の限度額を見直すための条例改正です。


この校外施設は、大田区で初めてPFIを採用した施設であり、指定管理者の中で最も長い15年という期間を指定している施設です。

質疑と答弁でわかったことは、これらのしくみが使用料にどう効果があるかわからないということ、料金にメリットを及ぼしているわけでは無いという事です。

区民の税金をふんだんに使うのですから、良いものができないはずがありません。同時に二つを選べるわけではありませんから、比較のしようもありません。詳細な明細を出してもらえませんから、チェックもできません。


適切に、問題なく、適正に行われているという説明で、適正だと判断することになっているのです。


PFIは資金調達から民間事業者にまかせますから、資金調達の利害関係者も関わります。


施設を使用する区民ばかりが、受益者として負担するのはおかしいと思います。反対です。

 


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