公共施設の老朽化に伴う建て替えや修繕は、財政負担の軽減を名目に複合化が進められていますが、
複数の施設を集中して建て替えたり、修繕したりすることになるため、必ずしも財政負担の軽減になりません。
それどころか、複合化で使わなくなった土地や建物をどうするか、公表せずに建築だけが行われています。
しかも、個々の建て替えより規模が大きくなるため、元受け事業者に求められる企業規模も大きくなり、入札に影響があるのではないか、という見方もできます。蒲田西出張所の建設契約もその一つです。
蒲田西出張所と大田都税事務所を、仮設の移転のための施設を建設して、現在改築中で空き地になっている大田区民センターの西側に移転させ、都税事務所に複合施設を建設したのち、仮設施設に入っていた蒲田西出張所、大田都税事務所を戻す計画です。
仮設施設をつくり、壊すのも無駄で、個々に1か所ずつ建替えれば、仮の施設をつくる必要もありません。
古い区民センターを取り壊す前に、都税事務所を一時的に移転させてその期間に都税事務所を完成させ、その後、蒲田西出張所を移転改築、という方法もあったのではないでしょうか。
以下は、蒲田西出張所の工事契約に反対した理由です。
第109号議案 大田区蒲田西特別出張所 大規模改修工事請負契約について
反対の立場から討論いたします。
今回の工事は、蒲田西特別出張所を都税事務所との合同庁舎として大規模改修する工事の請負契約についての議案です。
今回の契約は、この契約議案提出に至る前に、入札が不調に終わり、その後に行われた氏名競争入札の結果選定された事業者と契約をしている議案です。
12の事業者を指名していますが、そのうち入札に参加したのは、わずか4事業者でそれ以外の7事業者は辞退、1事業者は不参加でした。
一般競争入札でなく、指名競争とした理由は何か。
半数以上の7事業者が辞退しているが、大田区はその理由をどう分析しているか。
また、連絡なく入札に参加しなかった事業者があるが、どう評価しているかうかがいました。
大田区は、様々な事情があることを認識したうえで、辞退、不参が発生する状況は、入札および契約の適正化の観点から課題と認識していて、今後の発注にあたっては、適正な発注期間の確保 発注の時期の適正化など、より参加しやすい環境整備につとめると答弁しています。
課題を認識し今後の改善する大田区の姿勢は大切ですが、問題はそれほど簡単で単純ではないように思います。
大田区も言うように発注の時期を適正化するのであれば、大田区の努力で改善も見込めますが、今回の工事でわかるように、大田区だけでなく、東京都や国との調整の中で始まる開発が増えているからです。
今回の大田区蒲田西特別出張所 大規模改修工事も、都区合同庁舎にして大きな規模の建設工事になったことで、都区間の調整も必要になっています。見方によっては、大規模工事になったことで起きている問題とは言えないでしょうか。
しかも、大田区の他の複合化施設でも見られるように、たまつきで公共施設をあちこち動かし、スクラップアンドビルト案件を作り出し、必ずと言っていいほど、使途のきまっていない土地を作り出します。
今回でいえば、蒲田西出張所の跡地がどうなるか決まっていません。
本来、全体像を示したうえで動かすべきですが、時々の需要で場当たり的に動く今の区政が、長期的な区民との約束に立っていないことは明らかで、行政の継続性も区民負担の長期的見通しもたたず、区民との約束の上になりたっている行政とは到底言えません。
そもそも、コロナで多くの公共事業が遅れていますが、必ずしもコロナだけでなく、蒲蒲線など東京都の交通網整備における主要6路線も遅れています。
国や東京都の判断や政策選択の問題も大きいと思いますが、そうした周辺状況が結果として公共事業の集中をまねけば、経済、金融、人や物の調達、物価などに与える影響と共に入札に及ぼすこうした影響も考えるべきだと思います。
周辺状況も踏まえた区政運営と入札の適正化を求め、反対といたします。