2006年の10月13日に報告している廃棄物処理施設の火災の問題は、燃えたか燃えないかではなく、廃棄物処理施設の事故に対する監督行政である大田区と東京都の対応の仕方についてであったはずでした。
2006年第三回定例会代表質問において、消防は、産業廃棄物処理施設の貯蔵庫内で保管していたプラスチックが燃えたと記録している火災について質問をしました。産業廃棄物処理事業者(東京都環境公社)は、燃えなかったと報告書を作成し、それを、監督行政である東京都と大田区は容認しています。
しかも、燃えたというマスコミ報道や新聞報道があったにもかかわらず、産業廃棄物処理事業者と大田区は現場に行ったが「プラスチックが燃えたようには見えなかった」ので、報告書には「プラスチックが燃えたと記録しなかった」と説明しました。
そして、大田区は、「消防の記録が燃えたとなっているのだから燃えたのだろう」しかし、「消防が記録しているほどたくさんは燃えていないと思う」と説明しています。
本会議場において、産業廃棄物処理施設の火災の事故報告と、消防の記録とが異なっているのはなぜかという議会質問の回答がこれだけであるというのも、非常におかしな話です。
これらの説明が、議会質問の回答の全てであるとするならば、区と関係者は、産業廃棄物処理施設の事故に対する対応と、その改善策について誤った捕らえ方をしているといわざるを得ません。
事故の事実を報告書に記載し、再発防止策を示すことが行政の務めですが、事故報告書受け入れ、事実確認、消防との内容の相違とその対策という一連の大田区の動きは、事実を究明し、再発を防止しようという姿勢にか欠けています。
目視とあやふやな主観で事故報告を作成することに大きな問題がありますが、その部分についての改善策や反省の弁は一言もありませんでした。
しかも、事実と異なる報告書を受け入れた理由は「燃えなかったように見えたから」であって、環境公社の報告書を訂正することについては一言もふれられませんでした。消防の報告書を否定するかのように、「消防の報告書記載の100㎥ほどは燃えていない」という発言は、消防の報告書が正しくないことを示すものであり、そうだとするならば、消防の報告書に訂正を求めるべきです。
結果として、消防の報告書と産業廃棄物処理施設の事故報告書の記載内容が異なったまま存在している現場について、東京都も大田区も全く手をつけていません。
区長の「書類の矛盾点を正す」という答弁の結果がこれでしょうか。
産業廃棄物処理施設、特に破砕機にかかわる事故は、全国でも
、多数発生しています。
今回の火災は、幸い人的な被害は出ていませんが、事故報告に対し事実を究明し正確な事故報告を作成しようとする現在の姿勢で、果たして予防対策を十分にとることができるのでしょうか。
全国の発電施設などで、データ改ざんや事故の隠ぺいなどの不正にかかわる報道が相次いでいます。 軽微な事故であるから大田区は問題ないというのでしょうか。 こうした一連の問題と今回の大田区の廃棄物処理施設の火災の問題は、根本的なところで通じるものがあると考えます。
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