事業者選定は、プロポーザル方式で行い、大田区が設置要綱に基づき設置した専門家と区民から構成される選定委員会が選考し、その答申書を区長に提出します。
区長は、その答申を受けて決定するというのが、区が説明してきた選定のしくみです。
結果として、選定委員会が選考した事業者に、答申どおり決定しています。
委員会の説明から、各選定委員が、選定基準に沿って評価を行い、その点数の合計で一番評価の高かった事業者を選ぶのだと思っていましたが、特別委員会の説明から、そうではないことが判明しました。
事務局が、あらかじめ、評価した点数表に基づき、委員会全体で話し合いながら点数を決めていったのだそうです。
結果として、事務局が提示した評価と、委員会審査の後の評価は2、3箇所の変更しか行われず、また、事業者間の得点順位にも変更はありませんでした。
事務局が、あらかじめ採点評価までして、それを選定委員会提示することは、評価委員の評価に影響を与えはしないでしょうか。
また、事務局が、評価に関るのであれば、その位置づけはもっと明確にするべきでは無いでしょうか。事務局評価については、これまで一切公表されていませんでした。区は、評価委員会から頼まれたので提示したと説明しています。
ちなみに、区は、選定委員会の委員に対し、¥15,000/時間を支払って選定をお願いしています。
専門性を持った委員、そして、地域の声を代表する区民委員に必要だったのは、区が点数まで書いた評価表だったのでしょうか。
また、7つの事業者が提案した内容の著作権は、事業者側にあると区は要綱に明記しています。
この条項をたてに、現在、区は、提案した内容を公開しないと言っていましたが、委員会において強く要望したところ、決定した事業者の提案書類だけは、委員会において、回覧され、その後回収されました。
これまで、大田区が、提案書類に著作権を設定したり、著作権をたてに情報公開を拒んだ例は聞いたことがありません。
図書館の指定管理者応募の際に、提出書類の開示を求めたときにも、大田区は全ての書類を公開しています。
確かに情報公開の非開示の理由には、法人の事業の運営を不当に害するものとされていますが、法人のプロポーザル全てに著作権を認め、公開しない姿勢には問題があります。
NPOなど、市民事業の創意工夫を企業に盗まれてしまうといった問題が生じている一方で、著作権を安易に設定し透明性を阻むことの無い、著作権の適正な運用が求められます。
同様に、区は、選定委員会における審議の議事録も、事務局評価表も、委員会開催時に委員に配布した後、回収するなど、透明性が十分に確保されていません。
選定事業者の提案内容も、委員会で審議している最中に回覧されたため十分に読み込んでいませんが、特に、新しい人の流れを感じさせる提案はみられませんでした。
区の説明からは、提案事業者の商業によるにぎわいのセールスポイントとして、優れたものは感じられませんでした。