大規模災害が起きるたび、心を痛め、また、自分の住んでいる街が被災したときのことを思い心配になるのは、私だけではないでしょう。
区民アンケートでも防災は、多くの区民の関心事です。
こうした状況のなか、大田区が防災基金を創設すると聞けば、これで安心できると思うかもしれません。
しかし、あえて基金に積み立てなくても、災害時に基金を取り崩して使うことは可能です。
復興計画がなければ、災害時の速やかな復興も難しいでしょう。
基金総額1000億円の200億円に色をつけ、防災にしか使えなくすれば、福祉・教育財源を圧迫する可能性もあります。
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今回大田区は、第35号議案「大田区積立基金条例の一部を改正する条例」で防災基金を創設するとともに、今回の補正予算で防災基金として50億円つみたてます。
大田区は、発災時に国から予算がすぐに出ないことを理由に、200億円を上限に防災基金を創設すると言っています。
200億円の根拠は、被害額総額700~1000億円と想定し、初動期にその約2割の200億円が必要だからで、プラスアルファで更にこの上限は大きくなるかも知れないと言っています。
大田区の基金総額は1000億円もあり、あえて防災基金として積み立てなくても、発災時にはこれらの基金を使うことができることは、大田区も認めています。
あえて、防災基金を創設することは、お金に色をつけ防災のためだけに使える財源を確保することで「災害時に、優先順位について迷うことなく防災に使えることがメリット」だと説明されました。
地方自治法は、特定目的基金について、
・確実かつ効率的に運用しなければならない
・特定目的基金は、当該目的のためでなければこれを処分することができない。
と定めています。
今回50億円の積み立てですが、①将来的にどう200億円まで積み立てるのか、②被害総額の根拠、③200億円をどのようにつかい、どう災害対策できるかなどは示されていません。
200億円までの積み立ては、また基金から取り崩すのでしょうか、それとも、一般財源を切り詰めて積み立てるのでしょうか。積み立てることで、福祉や教育など他の費目への影響がないことを示すべきです。仮に、福祉や教育財源を圧迫してでも防災のための基金が優先されると言うなら、そこも含め、積み立てる財源の根拠や計画を示すべきです。
災害時の支出の優先順位を迷うことが無いと言いますが、福祉や教育に優先し迷うことなく防災につかえるとしても、被災後、道路障害物の処理、避難所設置、埋葬、捜索などどこをどう優先するのか示されていません。まず復行計画を示したうえでの基金創設、積み立てではないでしょうか。
防災だからと言って、根拠や復興計画も示さず、フリーハンドで使える基金にすることは許されません。
今も続いている東京一極集中は、投資効率をあげることになりますが、そこに暮らす私たちの災害リスクは高まります。
一極集中に歯止めをかけることが、防災の視点からいま私たちが取り組むべき最も効果的な防災対策の一つであることを申し述べ、反対といたします。