昨年の自民党総裁選の時、岸田首相が主張した言葉は、私にの心に深く刻み込まれています。
小泉構造改革の新自由主義的政策を「格差と分断をまねいた」と言って批判したからです。
岸田文雄氏「小泉改革以降の新自由主義政策を転換する」 総裁選へ経済対策:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
ああ、自民党もわかっているんだなあ、とその直後の決算討論で、使ったら、自民党当たりの議員席そから野次が飛びました。なんだ、自民党は新自由主義を反省したわけじゃないんだ、と直感しました。
そのあと、当時の発言を確認したら、「規制緩和、構造改革の新自由主義的政策はわが国経済の体質強化、成長をもたらした。」と行われた構造改革をまず評価していました。
そういうことだったわけです。
気を付けなければならないのは、こういう権力者が使う言葉には、
🔴嘘は言わないけれど、正確ではない、あるいは、
🔴誤解を招く言葉の使い方がある、
ということです。
格差とは、分断とは、何か、あらためて考えたいと思います。
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当時の東京新聞に掲載されている岸田総理の発言には、こんなものがあります。
「小泉改革以降の規制緩和、構造改革の新自由主義的政策はわが国経済の体質強化、成長をもたらした。他方で富める者と富まざる者の格差と分断を生んできた。コロナ禍で国民の格差がさらに広がった」
「今までと同じことをやっていたら格差はますます広がる。成長を適切に分配しないと格差の拡大は抑えることができない」
ポイントは、上記のマーカーの部分が何を意味するか、だと思います。
最初の経済体質強化と成長というのは、
一部の莫大な利益をあげて、今年度の税収増にも貢献している企業のことだと思います。
小泉改革以降の規制緩和、構造改革の新自由主義的政策が、成長をもたらした、と書いてあるわけですから、日本の政治が今、儲けている企業の成長を政策で支援したわけです。
政策的に優遇されている企業があったということです。
政治が、成長をもたらしたのには間違いありません。
そうすると、次の段の
富める者
というのは、もちろん、そうした企業の「株主たち」や「給与所得者ほか」の高額所得者の方たちだと思います。
ちなみにニーサなどで儲けた方たちは、給与所得がメインだと思いますので、給与所得者になります。
この株主とは、こういう経済成長で設けた利益が主な収入の株で生活できている方たちのことです。
大田区の税務概要で言うと、分離譲渡所得者という分類の方たちです。
富まざる者
低所得の方たち。
格差と分断
この前半部分に出てくる、格差と分断は、株主やたくさんのお給料をもらっているかたたちとそうでない方の格差、だと私たちは思ったわけです。
問題は後半部分の
格差の拡大は抑えることができない
この格差が何を意味する、だと思います。
さらりと読み流せば、株主と給与所得者なのですが、私は、
給与所得者間の格差を意味しているのではないかと思うのです。
というのも、成長を適切に分配、という言葉があるからです。
前段に、経済成長をもたらしたと評価していることから考えて、岸田さんの発言のトーンに、成長をもたらした部分を縮小する、という意図は、感じられないからです。
ここも私の直感です。
そうすると、
抑える格差の拡大は、給与所得者間の格差ではないか、と思います。
大きな利益を得ている株主は、国の格差是正の対象になっていないのではないでしょうか。
内閣府に下記の資料を見つけました。
右うえ、青と赤の棒グラフは、昨年と今年の収入の変化を出しています。
一番右の給与所得者の上位20%だけが、昨年より収入を減らしているのです。
これは、コロナで減った給与をコロナ以降も、所得上位者は戻さない、
あるいは、世代後退の際に、つまり、
退職する人と、現役世代の給与テーブルが少しづつ変わってきている、ということかもしれません。
いすれにしても、給与所得者が以前のような収入を望めない時代になってきているように感じさせるグラフです。
そして、岸田さんの発言なのです。
過去に、日本の既得権じゃを大企業のホワイトカラーと言った有識者がいます。
それがいよいよ現実のものになってきているのです。
アベノミクス第三の矢が狙う「大企業のホワイトカラー」という既得権 - 大田区議会議員 奈須りえ フェアな民主主義を大田区から! (goo.ne.jp)