大田区開催の居住支援セミナーに参加しました。
主に、大家さんや不動産屋さん向けの説明会でしたが、その前に
国の住宅セーフティネット法改正の説明会に参加していて、関心を持っていたからです。
平成30年の統計調査で大田区の空き家は48,450戸ありますが、そのうち、賃貸用の空き家は38,060戸。
空き家は有っても、
大田区に住宅相談にくる方の8割が高齢者だということです。
この賃貸用の空き家を、
低所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など、法で規定されている住宅確保用配慮者と呼ばれる方たちに提供するために、住宅確保用配所者に支援し、大家さんが貸しやすい市場整備をするため、
住宅セイフティーネット法の改正が行われています。
大家さんが貸しやすく、要配慮者(入居者)が円滑に入居できるために、法改正で、
入居者
・終身建物賃貸借(死亡時まで更新無く住み続けられるが相続人に相続されない)
大家さん
・居住支援法人による残置物処理の推進(入居者死亡時の残置物処理)
・居住サポート住宅による大家の不安軽減(安否確認、見守り、福祉サービスへのつなぎ、生活保護受給者の場合の代理納付)
双方
・家賃保証
などの仕組みができています。
大田区では、緊急連絡先代行サービスを使う場合の補助制度の案内などもしていました。
こうした説明により、
賃貸用の住宅を持っている住宅のオーナーに、住宅確保用配慮者の受け入れを検討していただく材料を提供するセミナーになっていました。
セミナーを受講して、
大田区行政が、賃貸住宅市場に影響を及ぼす可能性があるのに、このような形で関与することで、
どう変化するのか、気になりました。
気になった点について、以下、備忘録として書きとめます。
【1】平成30年の統計調査ですが、大田区の住宅の状況です
大田区の住宅総数は 427,580戸
誰か住んでいる家 370,130戸
空き家は 48,450戸
賃貸用の空き家 38,060戸
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現在も高齢者はいて、どこかで、何らかの方法で暮らしています。
この制度を活用し、高齢者などが賃貸住宅に住めるようになると、
何が起き、空き家や賃貸住宅市場はどうなるでしょう。
中には、建て替えで家を探さなければならない方もいると思います。そういう方は、賃貸から賃貸
ですから、統計上の数字は動きません。
気になるのは、現在は、家族と暮らしている、持ち家で暮らしている、といった場合です。
家族と暮らす高齢者が、家族と別れて賃貸で暮らすと、単身世帯化が進みます。
持ち家に暮らす高齢者だと、持ち家の売却や建て替えなどとセットで動く可能性が大きくなります。
結果、住宅売買市場に影響を及ぼすことになります。
大田区は、どういう高齢者が、どういう選択をするか、仮説を立てて、この制度を進めているのでしょ
うか。
【2】一方、大田区は、生活保護受給者の53000円の住宅費を事例に、この話をしていましたが、
仮に、家賃、53000円で、大田区と国が作っている制度を使い貸し出すと、
委託管理料5%+消費税、などの経費もかかります。
本来、賃貸住宅オーナーに入るべき賃料が、委託管理料などの経費として、不動産業者以外の
仲介業者に行くしくみなので、大家さんは、不安が取り除かれる分、収入が少なくなります。
資料を読むと、サブリース契約という言葉もありますので、物価が上昇すると、家賃が
相対的に安くなりますが、市場に連動し、どれだけ引き上げられるのか、心配です。
【3】一方、国は、法改正で、家賃補助のしくみをつくっています。
そうなりますと、賃貸住宅に出す場合には、この支援協議会経由でないと、家賃補助を
受けられない可能性があり、支援協議会が重要な役割を担っていることがわかります。
自由な住宅賃貸市場に、支援協議会という形で、行政と企業や団体が関与することで
個人の大家さん、大手棟貸し住宅事業者、不動産業者、修繕業者、等々、、、誰に
どう影響が及ぶでしょうか
一件、住宅をかりにくい方たちへの支援に見えるこのしくみですが、思った以上に、様々な分野に大きな影響を及ぼすのではないかと感じます。
これから調査し、考えていきたいと思います。