いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

研究者の不正と世俗化。 unfairnes of investigator and worldly

2014-01-19 16:48:52 | 日記
 (1)日本は欧米に比較して教育に対する国の投資が低いことで世界大学ランキングでも日本トップの東大でやっと20位台と低い評価にある。頭脳の海外流出は続き、日本人のノーベル賞授賞者の米国大学、研究機関の所属も目に付く。
 政府はあらたに大学への研究助成費の支給にあたって業績評価、成果主義(resultant theory)を打ち出して、重点的な研究助成政策を実施している。

 その大学で近年、論文の盗用、不正行為が相次いで表面化して社会問題になっている。新薬開発で利益共有関係にある製薬会社職員が関与した研究実験データなどの関連業者とのゆ着構造、依存構造なども増えている。
 研究費の不正使用、流用で業者とのゆ着関係もあきらかとなるケースが増えた。

 (2)大学、研究機関はかっては象牙の塔と呼ばれて、「閉ざされた」権威至上主義がはびこってほめられたものではなかったが、その分研究開発に対する取り組み意欲、探究、向上心は責任感の高いものがあると信じられてきた。

 近年の大学、研究機関での研究者の論文不正問題は、高度の研究開発分野で業績、成果主義が研究費の助成評価対象となって顕著になってきての悪影響を及ぼしているのではないのか。学術研究が業績、成果主義偏向に陥るのは学術文化の世俗化(worldly)であり、劣化、貧困の危険シグナルだ。

 (3)研究者の学術論文は唯一性、絶対性のある研究業績結果であり、能力、努力、真理、真実が支える世界でただひとつの理論でもある。そこに研究者の良心、真理、真実があり、存在感があるというものだ。

 深い研究には十分な研究資金、研究費も必要だが、真理、真実の原理原則、探究よりも研究費ねん出のための安易な不正(業績、成果偏向)に走るなどとは、大学研究機関もすっかり世俗化してしまったということだ。

 (4)iPS細胞では山中伸弥さんも参加しての国際iPSバンク設立計画が動きだして医療実用化の研究が前進して進歩に貢献し、一方で医学系大学での実験データ収集への業者関与の不適切対応が社会問題化している。

 研究費の不正使用、流用、不適切管理となると、業績評価、成果主義への偏向とはいえずに、大学研究機関と研究関連業界、企業との利益共有関係によるゆ着、なれあい構造だ。研究者意識もすっかり世俗化、サラリーマン化して、研究対価としての利益享受が目的化している時代の変化も背景にある。

 (5)未来社会の構造改革、成長戦略を目指して産学官連携がいわれて久しいが、研究と企業の関係が近代は密接なものになって企業からの研究支援体制も見込めるようになってきた。
 これが研究業績評価、成果主義への偏向を生んでいる負のスパイラル化(spirality)だ。

 大学研究は近代は「開かれた大学」として高度な知識、情報創出、提供による社会文化貢献が求められて、大学研究の在り方も変化を求められてきた。
 
 (6)大学も国際化を迎えて、秋入学制度の検討や留学生の受け入れ増強、入試制度改革に着手しているが、大学研究の構造改革も必要だ。
 最近の報道にあった海外主要大学研究機関の研究室まるごとの一定期間の日本受け入れもひとつの方法論(methodology)だ。これで研究者の意識改革をはかることだ。

 このままでは、ここ10年余米国に次いでノーベル賞授賞者を輩出している日本の研究体制が泣くというものだ。

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