いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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税金のとれるところはどこか。 what part is subject to taxation

2015-12-10 19:52:37 | 日記
 (1)2017年4月の消費税10%引き上げ実施に向けて、現行どおり8%に据え置く対象の軽減税率(reduce the tax)を巡る自民と公明との交渉がようやく決着に向けて佳境をむかえている。

 自民党は消費税10%引き上げ税収効果を最大限確保するために財務省ともども軽減税率導入には反対意思が主流であったが、連立公明党が早くから軽減税率を党政策の中心に据えて実現を強く求めてきた。

 (2)来年の参院選を控えて固定票の堅い公明党との選挙協力は欠かせない自民党と、軽減税率の実現を早くから党政策の中心にして国民生活を守る政党として選挙アピールしたい公明党との思惑は一致しており、具体策(対象項目と財源確保)を巡って協議を続けてきた。

 当初自民党は最小規模の生鮮食品のみの4000億円程度を主張したが、これに加工食品を含めた食料品全般の1兆2千億円程度を主張する公明党が強く反発して対立、選挙協力を重視する政府官邸が中間の8000億円程度の規模容認を示唆(報道)していた。

 (3)安倍首相が年末の来年度予算編成(税制大綱決定)に向けたタイムリミットを設定したこともあって、ほぼ公明党の考えに近い生鮮食品と加工食品を含む食料品全般の1兆円規模の軽減税率実施で自民と公明が合意するとの報道となった。

 しかし本日現在の協議でも自民党内の慎重意見が懸念材料となってか、公明党との合意にはいたっていない。

 (4)消費税10%引き上げにより低所得者層の税負担増の影響に便宜、配慮して生活必需品を適用除外しようというものだが、逆にいえば、見れば、どの分野を主な対象として10%引き上げを実施して思惑どおりの税収を増やすかという選択でもある。

 国家財政が累積1000兆円を超える赤字財政となっている日本だが、これまでの長期自民党政権の既得権益保護、大企業優遇政策で財政健全化を無視した借金(これまでの無尽蔵な国債発行)政権運営による失政の「ツケ」の結果であり、これを国民投資(税負担)で取り繕(つくろ)うという消費税引き上げで実に無責任な政府政策選択といえる。

 (5)考え方として、広く高く国民の税負担増を強いるのだからせめて生活必需品は適用除外して負担軽減をはかるというよりは、それではどこから税負担増を強く求めるのかの方がわかりやすい。

 法人税(the juridical person tax)は欧米に比較して高いといわれるが、税体系は国の歴史、文化、制度の違いがあって単純に比較できるものではなく、政府はこれまで経済優先、大企業優遇政策で企業社会保護の立場をとってきた。

 (6)米国に次いでGDP世界第2位(現在は中国に次いで第3位)の経済国となって、輸出産業を中心に世界的な企業も多く輩出してきた。現在も企業の内部留保は数百億円程度あるといわれて、多少の浮き沈みはあっても欧米と比較して高い法人税の中でもいつも政府の優遇政策、保護の上で経営堅調を維持してきた。

 法人税は赤字企業は負担を免れる有利な制度であり、さらなる法人税の減税効果は二重、三重の企業へのアドバンティッジ(advantage)であって不公平の象徴のようなものだ。

 (7)まずはどうぞ高い法人税をそのまま維持して、ここから税収をあげることが政府と企業の相関関係からして妥当で適当なところだ。
 楽観論ではあるが、毎年の会計検査院による検査でも政府機関の多額のムダな税金の使途がくり返し、くり返し指摘されており、税体系、予算を洗い直せば改善余地があるのは間違いない。

 (8)税金のとれるところはどこなのか(what part is subject to taxation)、とっていいところはどこなのかをよく見直してからの消費税10%引き上げだ。

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