いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

黒く塗れ。 all paint in black besides a title

2016-04-07 19:45:13 | 日記
 (1)後半国会の焦点となるTPP承認案が審議入りした。TPP交渉は昨年末に参加国の大筋合意を受けたといわれているが、その内容経過については具体的には国民に開示されることはなく、当時の甘利TPP担当相はひたすら交渉成功と自己満足感をただよわせて安倍首相も関係者以外はわからない成果をただ強調するという、とても国民には気分の悪い思わせぶりが続いていた。

 (2)これから国会審議で具体的な合意内容が示されて「本格審議」が始まることになるのだが、追求する野党にとっては何が何だか依然として訳のわからないTPP合意内容だから政府に対して情報開示、資料の提出を求めた。

 当初は「交渉過程は各国との信頼関係の中で出さないことになっている」(報道)として資料提出を拒否したあと、それでは国会審議に応じられないとする野党に対して一転資料の提出に応じたが、これが何と「表題以外はすべて黒塗り」(報道)というものだった。これで本格審議が保障できるのかあり得ないことだ。

 (3)まるで落語のオチを聞いているようなふざけた政府の対応で、国会承認を求める政府の真摯で良心的なやり方とはとても思えないものだ。
 TPP交渉会議は参加国の合意を円滑に促進するために交渉過程を非公開として(その都度各国の利害関係者の影響力が反映されるのを防ぐ交渉術)、徹底した情報非開示を貫いてきた。

 参加各国の国内事情、利害関係が複雑にからみ合った交渉であるので、百歩譲って交渉中の情報非開示はあり得ることと理解しても、大筋合意を受けたあとの承認の得る国会審議では政府が交渉過程、内容の具体的な情報開示に努めて説明することは必要不可欠な要件であり、すでに大筋合意を受けたものを情報開示することは何も問題はない。

 (4)TPP交渉では相互に譲歩し合って大筋合意にたどりついているわけで、情報開示することによって政府が事前に約束した日本のTPP交渉方針を順守していないことが公になることへの危惧でもあるのか、かえって詮索したくもなるところだ。

 先の政府の国際金融経済会合では招かれた米国の経済学者が原則非公開の同議事録について、堂々と12ページにわたって自らのブログで公開した総体的な知る権利の視点、見識判断とはえらい違いの日本政府の度量(magnanimity)のなさだ。

 (5)TPP審議は国会承認を求めるもので特定秘密保護法の対象でもないだろうし、「表題以外はすべて黒塗り」(all paint in black besides a title)資料の提出ではあまりにも非常識で画一的な基準をもて遊ぶ政府のみっともない対応だ。
 この傾向は安保法制審議での法制局長官の対応でも顕著だった。国民をなめているのではないのか。

 (6)TPPは潜在能力(potentiality)の高い日本の農業の自立、成長、競争力を促し、経済のあたらしい海外市場開拓を促進するもので、安倍首相も成長戦略の柱と位置付けている。
 そのためには情報公開を進めて効果と不利益、対策、展望を示して国民の理解とTPP合意による経済市場構成図を明確に提示する必要がある。

 (7)米国では大統領予備選が進行中だが、有力候補者のほとんどが米国の雇用などに不利な条約としてTPP合意に反対の意向を表明しており、民主党オバマ政権としては共和党優勢の議会承認には難航が予想されて安倍首相としては日本がいち早くTPP合意承認を得ることで米国に承認圧力をかけたい意向ともいわれており、そのためには審議に耐えうる資料の提出は必要要件だ。

 (8)政府の「表題以外すべて黒塗り」資料提出ではTPP合意の国会承認に逆行する自損行為だ。

 

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