(1)我々はもちろん犯罪のない社会を望む。それは我々の生活、権利、人生が安全で安心、自由で満足のいくものでありたいからであり、国に国民として税負担、投資者としてその対価として実現を望むものである。
一方でそのために国、警察権力が犯罪抑止効果のために捜査権力を必要以上に格段に強化すれば、戦前の特高警察のように国民の人権抑圧、侵害に及ぶ危険性が高くなり、善し悪し半ばするやっかいなものだ。
(2)犯罪のない安全社会が個人の自由、権利、生活を保障する許容、許諾範囲のものかが悩みだ。近年の捜査手法は自白偏重から証拠主義が採用されて、捜査力強化のために市街地の防犯カメラの設置やおとり捜査など新手法も取り入れられて人権侵害も問題になっている。
そのひとつ、警察が容疑者の車に密かに勝手にGPS(全地球測位システム)機能を取り付けて追跡して証拠を押さえる捜査手法が適法かで争われた裁判は、これまでの地裁、高裁では捜査令状(investigative warrant)がなければ何人も強制捜査されない憲法第35条により違法と判断したのが5件、おとり捜査のように任意捜査の範囲内で適法としたのが4件(報道)と司法判断が大きく分かれる結果となっていた。
(3)警察としてはおとり捜査、GPS捜査は通常手続きの捜査令状を取っての捜査では実効性、犯罪抑止効果がないとして、警察独自の任意捜査の判断でGPS捜査を続けてきた。
TVニュースではGPS捜査対象となった容疑者がインタビューで、いつでもどこでも監視されていたとなると気持ちが悪い(趣旨発言)と話していたが、犯罪に関係のない、かかわらない誰も彼もがそういう捜査対象になる可能性(共謀罪法案で問題化)のある社会となればまさしくそういう国家、警察権力による監視社会であり、自由で満足な人権保障生活とはいえない。
(4)前述のように国、警察が犯罪抑止優先を前面に出して捜査手法、手段を選ばないということになれば、国民生活、権利抑圧、侵害に及ぶということにもなり捜査令状主義に反する違憲、違法行為となるだろう。
警察がGPS捜査(global positioning system)で捜査令状を取って対象者に示していては捜査にならないというのは、一方的な警察の手法、手段を選ばない逮捕に重点を置いたバイアス(bias)な立場の主張であり、危険ではある。
(5)この問題で最高裁は、捜査令状のないGPS捜査は「プライバシーを侵害し得る」(判決要旨)として「特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分」(同)で「令状がなければできない」(同)と刑訴法に違反すると判決した。
一方で最高裁は「GPS捜査への刑訴法上の令状発付は疑義がある」としてGPS捜査の実効性、犯罪抑止効果そのものは否定せずに適法化に向けた環境整備を求めたものだ。
(6)国はまずは国民個人の人権、生活、自由、権利を保障することがなによりの責任であり、それを抑圧、侵害する捜査手法には効果があるとしても慎重に法律で適正に規制することが求められる。
一方でそのために国、警察権力が犯罪抑止効果のために捜査権力を必要以上に格段に強化すれば、戦前の特高警察のように国民の人権抑圧、侵害に及ぶ危険性が高くなり、善し悪し半ばするやっかいなものだ。
(2)犯罪のない安全社会が個人の自由、権利、生活を保障する許容、許諾範囲のものかが悩みだ。近年の捜査手法は自白偏重から証拠主義が採用されて、捜査力強化のために市街地の防犯カメラの設置やおとり捜査など新手法も取り入れられて人権侵害も問題になっている。
そのひとつ、警察が容疑者の車に密かに勝手にGPS(全地球測位システム)機能を取り付けて追跡して証拠を押さえる捜査手法が適法かで争われた裁判は、これまでの地裁、高裁では捜査令状(investigative warrant)がなければ何人も強制捜査されない憲法第35条により違法と判断したのが5件、おとり捜査のように任意捜査の範囲内で適法としたのが4件(報道)と司法判断が大きく分かれる結果となっていた。
(3)警察としてはおとり捜査、GPS捜査は通常手続きの捜査令状を取っての捜査では実効性、犯罪抑止効果がないとして、警察独自の任意捜査の判断でGPS捜査を続けてきた。
TVニュースではGPS捜査対象となった容疑者がインタビューで、いつでもどこでも監視されていたとなると気持ちが悪い(趣旨発言)と話していたが、犯罪に関係のない、かかわらない誰も彼もがそういう捜査対象になる可能性(共謀罪法案で問題化)のある社会となればまさしくそういう国家、警察権力による監視社会であり、自由で満足な人権保障生活とはいえない。
(4)前述のように国、警察が犯罪抑止優先を前面に出して捜査手法、手段を選ばないということになれば、国民生活、権利抑圧、侵害に及ぶということにもなり捜査令状主義に反する違憲、違法行為となるだろう。
警察がGPS捜査(global positioning system)で捜査令状を取って対象者に示していては捜査にならないというのは、一方的な警察の手法、手段を選ばない逮捕に重点を置いたバイアス(bias)な立場の主張であり、危険ではある。
(5)この問題で最高裁は、捜査令状のないGPS捜査は「プライバシーを侵害し得る」(判決要旨)として「特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分」(同)で「令状がなければできない」(同)と刑訴法に違反すると判決した。
一方で最高裁は「GPS捜査への刑訴法上の令状発付は疑義がある」としてGPS捜査の実効性、犯罪抑止効果そのものは否定せずに適法化に向けた環境整備を求めたものだ。
(6)国はまずは国民個人の人権、生活、自由、権利を保障することがなによりの責任であり、それを抑圧、侵害する捜査手法には効果があるとしても慎重に法律で適正に規制することが求められる。