いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

自治体行政の無責任トライアングル。 triangle of irresponsibility of local administration

2017-03-20 19:45:40 | 日記
 (1)豊洲市場問題と森友学園問題は、東京都と大阪府という地方自治体を代表する二大都市の地方自治行政に対するあつれき、不信、私物化による知事のガバナンス(governance)が及ばない、行政統制が効いていない実態をあらためて突きつけられた問題だ。

 ともに関係当事の自治体の長は東京都青島、石原元知事、大阪府は橋下元知事という、作家、タレント(一部弁護士)としての名声を背景に独自の政治理念、手法で高い支持を集めて登場した政治家だ。

 (2)都民、府民からすれば既成政治、政治家にないあたらしい視点での政治改革に期待してのもので、現在米国のトランプ大統領誕生や欧州に台頭している極右勢力などの既成政治打破のポピュリズム(大衆迎合主義)の走りでもあった。

 知事の存在が際立っている陰で議会のチェック機能が有効に働かずに行政自体が知事の独断で方針が決められて、行政機関が意向を汲んであるいはガバナンス不在のまま勝手に自由に裁量して進めた結果としての豊洲市場の地下埋め立て盛り土不履行であり、豊洲市場建設完成後の環境基準を大きく上回る地下水有害物質の検出であり、また森友学園小学校認可、補助金申請の幾通りもの不自然な書類提出を見抜けない素通りの不祥事となって問題が相次いで発覚している。

 (3)選挙公報活動以外に自らの選挙運動をしない(青島元知事)、週3日の登庁で実務の取り仕切りを副知事にまかせる(石原元知事)、議会対策をせず意図的に対決して執行見込みのない自らの理念を断行して行き詰まる(橋下元知事)ことの政治責任はもとより都民、府民の期待に応えなかった元知事にあるが、これを甘受した強力な世論で方針転換できなかった都民、府民の不履行責任もある。

 元知事の独自性、自己満足を貫いただけで地方自治行政の空洞化(cavern phenomenon)が豊洲市場問題、森友学園問題として政治責任があいまいなまま決定過程など実態が不明確な東京都、大阪府二大都市の地方自治行政の空洞化現象があきらかになった地方自治行政の危機だ。

 (4)豊洲市場問題では都議会の百条委員会が連休日に開催されて、初日の当事の市場長証言では核心重要問題については当事の石原知事に報告したと言い、直接当事の交渉担当者の浜渦副知事は土壌汚染合意の核心問題について「(役人が)勝手なことをした」、「不届きな話」(報道)と責任転嫁、石原元知事の証言もやはり先制して出てきた3日の記者会見の枠を出ないもので、最高責任者としての決済責任は認めるが担当役人、専門家(審議委員会)の判断を尊重しただけと、これまた都庁、専門審議関係者に責任転嫁するものだった。地方自治行政の空洞化危機だ。

 (5)元と現都知事同士の非生産的なケンカ試合で都民の投資財産が食いつぶされていく。生産的な議論、決断が求められている。

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