(1)来年度予算案成立のために石破首相が選んだのが103万円の壁引き上げの国民民主ではなくて、高校授業料、給食費無償化の維新だった。予算案としても恒久財源でふくれる103万円の壁引き上げよりは時限財源で押さえられる高校授業料無償化などの方が対応がしやすいことや、連立も考えるとこれまで自民党と近かった維新の方がやりやすいという思惑もみえてくる。
(2)夏の衆院選を考えると国民の支持の高まりをみせる手取りを増やす国民民主との協力関係は大きいが、選挙協力からも全国区をめざす国民民主よりは関西勢力でまだ全国的でない維新との協力関係の方が調整しやすい利点はある。来年度予算案成立後は自公と維新の連立の動きもでてくることも考えられる。
(3)少数与党の石破政権が安定政権につながる可能性もでてくる。国民民主の103万円の壁引き上げも与党のペースで進むことが考えられて(政府は160万円で法案提出)、国民民主としては選挙で主張した手取りを増やす方針(178万円)が制約を受ければダメージはあり、石破政権と維新の政策合意はそういう政治の流れ、思惑もみえてくる。
(4)国連ではウクライナへの露の侵攻を非難し、露軍の即時撤退を求める決議に対して日本を含む93か国が賛成したが、露、米など18か国が反対し、中国など65か国が棄権した。決議採択には拘束力はなく、ウクライナ批判を強めるトランプ大統領の米国は反対を表明した。
国連ではなくトランプ大統領自らが露のプーチン大統領と協議を進めて停戦につなげたい意思、意向のあらわれだ。
(5)それには停戦の見返りとして米国に対してウクライナの鉱物資源レアアースの権益譲渡、露のレアアース資源も提供されるべきだとの思惑、計算もある。一部にはトランプ大統領はガザ停戦にウクライナ戦争停戦でノーベル平和賞に意欲をみせているともいわれて成果を強調したい意向があり、国連での露の非難決議、軍撤退への米の反対につながる。
(6)実業家トランプ大統領のしたたかなディール(取引)の全部取り思考であり、国連で必要な非難決議はトランプ大統領の何でも関税主義、領土資源と引き換えの停戦手法に必要なのではないのか。