日暮らし通信


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変わりつつある風習

2014年07月14日 21時09分00秒 | 日暮らし通信
日暮らし通信

■□ 写真タイトル と 撮影場所 □■

ムクゲ (日の丸)

所沢航空記念公園



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来月は旧盆だが、この辺りでは永く続いた伝来の風習が変わりつつある。

迎え盆では 「お墓までの角々に線香を置いて先祖を迎える」 、送り盆では 「先祖をナスで作った(うま)に乗せて送る」 が一般的な風習なのだが、この置かれた線香や、ナスの午に対して地域住民からの苦情が多いため、それを中止するように寺側から通達が出されているのが現状である。

昔から住みついている土地の人は苦情は言わないが、後から転入した人が圧倒的に多いために、苦情が浮き彫りになっているのだろう。

送り盆の翌日確かめると、お墓の周辺ではかなりの量の線香や午が残っていて、住民が苦情を言うのも判るような気もする。

昔は土の部分が多かったから、放っておいてもすぐに自然に戻ったが、今はコンクリートだらけなので線香やナス午は分解せずに永く原形を留めることになってしまう。

寺側も手を(こまね)いているわけではなく 「線香は自宅前及び墓地正面前」 、「午は墓地正面前」 以外は置かないようにとPRしているが、的確に守られているわけではなさそうだ。

以上はお盆の時の例だが、その他、地域住民からの苦情で永く続いた風習が変わった例はたくさんある。

以前、この辺りでは地域でお祭りなどのエベントがあると、早朝から花火が二、三回打ち上げられて参加を(うなが)していた。

だがこの風習も住民からの ”(うるさ)い” とか、関係なさそうだが ”花火の打ち上げでパソコンが壊れた” などの苦情で花火の打ち上げを止めた地域もある。

その他、”小学校の運動会での音楽が煩い” とか ”お祭りでの夜のお囃子が煩い” などの苦情は後は絶たないそうだ。

文句を言う人は 「個人の権利」 を主張しているのだろうが、権利には義務が付きもの、果たしてその人は幾つその義務を果たしているのだろうか?

日本には何百年も続いた伝統的な風習が幾つもあるが、私はそれを存続させた人たちの努力は素晴らしいと絶賛する。

それを支えたのはやはり 「地域の(きずな)」 の強さだと思うが、この辺りでは 「他所から来た人」 が多いから同じレベルで物を計れないもどかしさがネックになって ”絆” 作りを難しくしているのだろう。

さてお盆にお帰りになるご先祖さまたちは、このような下界のいざこざをどのように評価されるのでしょうか?






カンダタの善行

2014年07月14日 15時25分49秒 | 所沢航空記念公園
日暮らし通信

■□ 写真タイトル と 撮影場所 □■

八重の槿咲く

所沢航空記念公園



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園内で幅の広い道路を歩いていた時のことだった。

妻が ”あっ、ミミズだあ~” と少し高めの声を出したのでびっくりした。

立ち止まって目の前の路上を見ると、長さ15センチくらいのミミズが道路を直角に横切るように動いている。

その動作を表現する言葉はすぐに出なかったのだが、少し間を置いて ”匍匐前進(ほふくぜんしん)” が浮かんできた。

でも何で幅5メートルもある道路を横切るの? と余計な疑問を持った。

私に言わせればアマゾンの大河を泳いで渡るような暴挙としか思えず、涼しい草叢(くさむら)でじっと過ごしていればいいのにとまた余計なお節介心(せっかいごころ)を持った。

横断する前に踏み潰されたり、途中で熱さのため自らの水分が蒸発して干乾びてしまうリスクを負っても何故そんな冒険をするのだろうか?

実際に、園内の道路には沢山のミミズや虫が志半(こころざしなか)ばで横断できなかった姿をあちこちで見かける。

でもミミズの世界は私が心配するような単純な世界ではないのかもしれない。

人間は自らが好き嫌いで選んで行動するが、彼らは本能的な感覚で 「貴方はこの道路を横断して向こう側でテリトリーを増やしなさい」 と暗示されて ”嫌です” との拒否権は存在しないのだろう。

まだひたすら匍匐前進するミミズを見ていると芥川龍之介の 「蜘蛛の糸」 の主人公・カンダタを想い出す。

悪党であったカンダタは一度だけ 「小さな蜘蛛を踏み殺すのを止め、命を助けた」 善行の持ち主。

園内を歩いているとミミズ以外でも多くの蟻や名も知らぬ小さな虫たちがせっせと道路を横切っている。

気付かずに私も妻もその虫たちの行動を邪魔しているかもしれないが ”カンダタの善行” だけは忘れないようにと心がけている。

本当は私は大のミミズ嫌い。妻の声かけでその時ばかりは少し味方になりました。

昨日、園内で楽しみに待っていた八重の槿(むくげ)がやっと咲いた。パソコンで調べると去年の同じ日、やはりこの八重の槿を撮っていた。

樹木や草花が持つ胎内時計はかなり精度が高くて正確なようです。