私、墓に取り付かれています。59歳、家族は無し。だから自分で死ぬ準備をしなければならない。
それで気になったのです。私と同じ家系を生きた永井荷風と三島由紀夫の墓がどうなっているのかを。
結果、うーん、ショックです。二人とも思い通りには葬られていなかった。
これが人殺しの家系の因果なのかなぁー。これなんだよなぁー、私が危惧しているのは。
どうしても上手く行かない。自分の思い通りにならない。これが呪われている私の家系の定めなのかなぁー。
先ずは永井荷風の墓です。この永井荷風、一度は結婚していたみたいですが、直ぐに離婚しています。
そして天涯孤独の人生を生きた。自分と似ている。信じられるのはお金だけ。だから全財産を何時もバックに詰めて持ち歩いていた。そして全財産が入ったバックを抱きしめながら自宅で孤独死している。
「自分の墓を造るなら浄閑寺の娼妓の墓倒れたる間を選び、一片の石を建てよ。石の高さは五尺を超えるべからず。名は荷風散人墓の五文字のみを入れよ・・・・」っと遺言していたようです。
しかし、永井荷風の墓は浄閑寺には建てられず、父親と同じ雑司ヶ谷霊園に簡素な墓が建てられています。「永井荷風墓」と彫られた墓が。
浄閑寺は浄土宗です。しかし、永井荷風の家系の墓は雑司ヶ谷霊園にある。何故、望んだ浄土宗の浄閑寺に墓が造られなかったのか。
荷風の財産は2334万円。1959年に亡くなっているから64年前か。64年前の2334万円は今の金額だと5億円以上ではないかな。不動産や株を買っていれば100億円も夢ではない。そんな大金を持っていたのら浄閑寺に葬ってやれば良いのに。
でも、父親の墓は雑司ヶ谷墓地にある。荷風の家は裕福だった筈。それなのに浄土宗の寺に墓を求めなかった。
これはやはり浄土宗である平家に、我が家系が命を狙われたからか。
永井家宗家四代の永井尚長は、浄土宗の総本山である増上寺内で殺されている。こんな因果があるか。
永井家宗家の永井直勝は浄土宗から曹洞宗に改宗した。永井荷風の父親もそれを重視したと思える。宗派に縛られたくないから雑司ヶ谷霊園に墓を求めたのだと私は考える。
同じ永井直勝の血筋の三島由紀夫の墓はどうか。三島由紀夫の墓は多磨霊園にある。やはり浄土宗は避けたようだ。
三島由紀夫も浄土宗のお寺での墓を避けた。曹洞宗のお寺の墓も避けた。やはり宗派に左右されたくなかったのだろう。
流石だ。それで正しいのだ。三島由紀夫も永井荷風の父親も浄土宗には疑問を感じていた。私はそう思う。同じ平家なのに我が家系の命を狙った平家の浄土宗など避けるべきなのだ。
しかし、ショックな事があった。何と多磨霊園の三島由紀夫の墓にはお骨が入っていないのだ。何と三島由紀夫のお骨は何者かに盗掘されたのだ。
犯人は熱狂的な三島信者か。それとも三島由紀夫の成仏を願わない悪意がある者の仕業か。
お骨を盗むとは何て罰当たりなのか。これ以上の故人を貶める所業ってあるのか。人間ではない。鬼畜だ。畜生だ。
無性に腹が立つ。腹が立つ、腹が立つ。涙が出て来る。腹が立つ。
三島由紀夫が気の毒過ぎる。同じ家系の者として悲し過ぎる。
だからこそなのだ。だから私は自分の墓造りにベストを尽くしてやる。誰にも参拝されなくても良い。最高の霊場で永遠の眠り付きたい。
幸運なことに最上の神域に山林を持っているのだ。墓くらいは自分の望みを達成したい。殆ど存在しない日本人の清く正しい本当の墓を造ってやる。例え法を犯しても。
死んでからも法を守るなんて真っ平御免だ。
っと言いながら何とか合法の手立てを考えている私の心の真面目さには、自分でも愛おしくも腹立たしいが。
ではでは。