十一面観音は瀬織津姫であるとした説が有ります。
熊野権現が瀬織津姫で有るのならば、千手十一面観音が瀬織津姫で十一面観音は瀬織津姫の息子でなければならない筈です。私はチョット疑問です。
瀬織津姫と市杵嶋姫も同神とされています。ご存知の様に市杵嶋姫が祀られる厳島神社総本山厳島にも、千手十一面観音を彫った石碑が厳島の主の様に島の頂に鎮座してますし、瀬織津姫のもう一つの姿とされる弁才天(弁財天じゃないですよ)も複数本の腕を持っています。十一面観音より千手十一面観音の方がしっくりと来ると思うのです。
円空は瀬織津姫として十一面観音を彫り続けてきたとされています。
まさか円空が千本の腕を彫るのめんどくさくなって千手十一面観音ではなく十一面観音を彫ったのか、十一面観音も千手十一面観音も同じ十一面観音に変わりないとする考えからなのかは判りませんが、今一、納得がいかない私です。
まっ、それは兎も角、十一面観音です。そのお姿の一番の特徴は腕が長いと言う点です。
中国の思想では、腕の長い人物は貴人とされています。徳のある人物と言う事です。
三国志の蜀の皇帝だった劉備玄徳の身体的特徴は腕が膝まで付くほど長く、振り向けば自分の耳たぶが見える程、耳が大きかったと言われていますが、十一面観音のお姿もその特徴通りとなってます。
これはインド・中国の考えから来ているのだろうとは思います。
まあ、それは置いときまして、日本の神様で十一面観音に良く似ている存在を考えると、どうしても手長をイメージしてしまいます。つまり「妖怪・手長=瀬織津姫」と言う事です。
こんな事言うと瀬織津姫を信仰している方々に怒られそうですが、鬼渡系の神社を調べてて知ったのですが、瀬織津姫に関わりある土地には妖怪・手長足長、そして手長を足長がおんぶしている姿と思えるダイダラボッチの伝説が残っているケースが多いのです。勿論、鬼渡系の神社ともリンクします。とても偶然とは思えません。
例えば私の故郷に近い福島県の楢葉町にある瀬織津姫を祀る大瀧神社の近くにも、ダイダラボッチの伝説があります。
同じく福島県天栄村の瀬織津姫を祀る明神瀧の付近に鎮座する二岐山は、ダイダラボッチがその山を跨ごうとして股間をしたたかに打ちつけ、二股になったとする伝説があります。
更には718年、蝦夷討伐の守護神??として熊野本宮神が宮城県の唐桑半島に上陸。熊野本宮神の最初に仮置き場とされた場所に、瀬織津姫神社の別名が有る舞根神社が鎮座してます。勿論、瀬織津姫が祀られています。
瀬織津姫と思われる熊野本宮神は、その場から室根山の室根神社に運ばれたのですが、舞根神社と室根神社のほぼ中間地点に手長山があります。
更に瀬織津姫を出羽神である大物忌主と考えれば、福島県の会津磐梯山、秋田県の鳥海山も大物忌主と手長足長との接点があります。瀬織津姫と妖怪・手長に何らかの関係があるのは間違いないと思えるのです。
つづく。