この話も東北の民俗、或いは伝承からの話です。
東北限定の神ではないと思いますが、東北には粟島様なる女神への信仰が残っています。
この粟島様、粟島大明神とも呼ばれ、独身女性とは言い切れませんが、子供がいない女性の守り神です。当然、霊験は女性限定。特に女性の腰から下の病に効果があるそうです。
この粟島様、タイトル通り天照大神の娘神と伝えられています。
そして13歳となる春の日、32本全部の歯にお歯黒をし、京の住吉大明神の元に嫁入りしたものの、生理の経血で石燈籠を汚してしまった。
多くの神々がその件を重要視し、咎として島流しに。
粟島様は紀ノ國の名草群に漂着。この地の鎮守の神として祀られた。三月三日が縁日とされています。
以上のデーターから判断すると粟島様は丹生都比売神だと判断されます。紀ノ國の鎮守の神と言えは丹生都比売神ですから。
因みに「丹生」とは水銀が入った赤い染料ですが、粟島様の経血の件もイメージが合うと思います。多分、間違いないでしょう。
因みに和歌山はその昔、「名草」と呼ばれていました。
名草は薬草ですが、「丹生」の成分である水銀も昔は不老不死の薬とされていた。同じ意味合いとも考えられます。
ただ、難しい点もあります。丹生都比売神は天照大神の妹神との伝承もある。そうなると天照大神の妹神とされる稚日女尊とも考えられる。
稚日女尊は織姫です。高天原で機織りをしていた。そこに素戔嗚尊が轟を起こしながら高天原に昇って来た。
素戔嗚尊は天照大神との「うけい(契)」の勝負で剣から宗像三神を生んだ。女神を生んだ事で心が清らかである事を証明し、「うけい」で天照大神に勝利した。
勝利し増長した素戔嗚尊は、暴虐無人の行為を繰り返し、尻から剝いだ斑馬の毛皮を稚日女尊の織物小屋に投げ込む。稚日女尊はショックを受けて、女性器を刺して自害した。
この稚日女尊も経血では無いにしろ、赤い血を流している。かねてから説明しているが、聖婚で考えれば近親の神は同神となる。
「丹生都比売神=稚日女尊」が成り立ちます。
続く。
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