令和5年9月2日
さらに熱帯低気圧発生へ ただ本当に台風11号・12号に続く “台風の卵”なのか?
カギは「上層寒冷低気圧」
来週は秋雨前線が本州停滞で大雨おそれも 気象庁&海外進路予想
さらに熱帯低気圧や低気圧が発生へ 日本の南海上
2日夜の衛星画像を見ると、台風11号は強い勢力で先島諸島の南の海上を西へと進んでいます。
台風12号は日本の南の海上を北西へと進んでいます。
12号はさほど発達せずに9月3日には熱帯低気圧へと変わる見込みです。
さらに日本の南の海上には台風11号、12号とは別に雲がまとまっているエリアが確認できます。
これらについて “台風13号・14号の卵が…”といった形で伝えている記事もあります。
ただ台風になるかどうかは微妙で可能性は小さいとみています。
さほど発達しないとみられるためです。
9月4日朝の予想天気図です。
雲がまとまっていたエリアで熱帯低気圧や低気圧として解析されています。
ただ熱帯低気圧になればすべてが台風になるわけではありません。
今回の台風12号や熱帯低気圧や低気圧の発達や進路に影響を与えているのが、
地上の天気図には表示されない上空の低気圧です。
上層寒冷低気圧と呼ばれるもので上空の高い層に寒気を伴っている低気圧です。
■カギを握るのが上空高い所に寒気を伴った低気圧
こちらは2日9時の上空9700mや5800m付近の気温を示したものです。
日本の南の海上の上空高い所には周囲に比べて冷たい空気があることがわかります。
高層天気図をみると、この上空の高い所に冷たい空気を伴った低気圧が存在しています。
これが上層寒冷低気圧です。
この低気圧の南東側では対流活動が活発となり雲が湧きやすいエリアとなることがあります。
台風12号となった熱帯低気圧が発生した時も上層寒冷低気圧の南東側にあたるエリアでした。
一方で、この上層寒冷低気圧による風の流れが熱帯低気圧や台風周辺の風を乱すことで台風の発達を抑えることがあります。
台風の海面付近と上層の風の向きや強さに大きな違いが生じることで(=鉛直シアが大きい)、
台風が発達するための台風の渦を弱めてしまう形になるからです。
今回の台風12号がさほど発達しないまま熱帯低気圧になるのは、
12号の進路に先行する形で上層寒冷低気圧が移動してきたのが大きな影響を与えているとみられます。
この上層寒冷低気圧は9月4日になっても西日本の南の海上に存在しています。
周辺の熱帯低気圧などに影響を与える予想です。
9月4日朝の天気図では熱帯低気圧や低気圧が並んでいますが、これは上層寒冷低気圧の周辺に並んでいます。
時計回りの風に乗るような形で動いています。
このうちの発生が予想される熱帯低気圧の一つについて、アメリカ海洋大気庁によるアンサンブル予報の結果を見ると、
さほど発達しないまま北上していく予想です。
この熱帯低気圧が台風になる可能性は小さそうです。
■来週は秋雨前線とのコラボで本州で大雨のおそれも 週間天気予報のための支援図です。
ドットのついている部分は24時間雨量5ミリ以上の降水が予想されるエリアです。
来週は太平洋高気圧の張り出しが弱まって秋雨前線が本州付近に停滞する見込みで、
全国的に雨が降りやすくなることが予想されています。
また台風11号は中国大陸沿岸で熱帯低気圧に変わったあとも同じような場所にLマークがスタンプされています。
来週になると暖かく湿った空気を東シナ海方面へと送り込む可能性があります。
来週にかけて台風や熱帯低気圧の動向だけでなく、秋雨前線による大雨にも注意が必要となりそうです。