「ＢＭ ネクタール」 藤澤勇希

掘り出し物に遭遇した楽しみは、言いふらしたくなる。

掲載誌が週刊少年チャンピオンだったせいか、あまり知られていないと思うが、たしかに名作だと思う。ちなみにＢＭとは、バイオ・ミートの略で、人間が人工的に作った生命体だ。外見はナメクジに近い。ただし、裏面に巨大な口と牙が目立つのがおぞましい。

ＢＭは食料危機に喘ぐ人類の切り札として作り上げられた。なにせ、ガラスや鉄以外なら何でも食べ、短時間で増殖する。その肉は加工次第でいかようにも味付けを変える事が出来る。未来の人類は、廃棄物を食べて育つＢＭを食べて生きていく。

本来は廃棄物の処理のために作られたが、食用に適するようにも改造された代物だ。問題は何でも食べるということ。つまり人間だって、ＢＭには食料に過ぎない。そして極めて短時間で、凄まじい勢いで増殖する。

このＢＭが不慮の事故から施設を逃げ出したから大変だ。たちまち街一つを食べ尽くした。その騒動に巻き込まれた子供たちの必死の脱出劇が見物となる。

私がたまに行く漫画喫茶では、店長お勧めの棚に収められている。まだまだ知名度の低い漫画家の作品だけに、世に知られてはいないと思う。パニックものがお好きでしたら、是非どうぞ。