発つ鳥、後を濁さずというが、民主党政権は濁しっぱなしであった。
特に首相を止める直前がひどい。ルーピーな鳩ポッポは小細工する知恵もなかったが、怒鳴るだけの菅は辞める直前に朝鮮学校の無償化を指示したりして、後顧の憂いを残してくれた。
三人の中で一番実務が出来た野田自身は、そのような小細工をやらなかったが、止めることもしなかった。昨年末、衆議院選挙が決まったあたりから、一部の民主党政権幹部の意向を受けたのか、ひどい小細工というか工作がなされていたと思う。
それが原発の立地問題、すなわち活断層の危険性についてだ。たしかに大地震があれば活断層の上に建設された原子力発電所に危険が及ぶことは確かだと思うが、問題はどの程度の危険が及ぶかだ。
10月末ぐらいまでは、原子力規制委員会から委託された専門家による調査団も慎重な意見を出すに留めていた。ところが野田総理が12月解散を言い出した直後から、急激に活断層だと断じた上で早急に原発停止を求める見解を言い出してきた。
とりわけ12月16日の衆議院選挙により民主党が歴史的大敗を喫して以降、この専門家調査団は過去の調査結果を否定し、危険な活断層だと決めつけて、早急に結論を出すことを求めてきている。
私には怪しく思えて仕方がない。
いったい全体、地中深くにある地層の調査がなんだってこんなに早くに結論が出せるのだ? いったい何時、ボーリング調査をしたのだ?
私には、活断層と決定→原発廃止 との結論ありきの調査結果にしか思えない。
断っておくが福島原発事故以前から私は、放射能廃棄物を完全に処理できない現行の原子力発電のシステム自体、不完全な代物であると認識していた。ただ、不完全ではあっても現行の社会が電力を多大に必要とする構造になっており、それを支える社会的基盤の一役を担っていることを認めている。
しかも石油が今世紀中に枯渇、もしくは大幅に減少することが予測されている以上、エネルギーの多角化は必然であり、原子力もその一環であることも当然の理である。
ただし、スリーマイル島やチェルノブイリ、そして福島をみれば分かるように原発は危険な存在でもある。だからこそ、今後より一層研究を重ねて安全の向上を図る必要があるとも考えている。技術的には未解決な問題が山積している核融合は当分、その実用化は望めない。
だからこそ、次善の策として現行の原発の改良、そしてプルサーマル計画のより一層の推進(安全面も含めて)が必要だと考える。原発は廃止したって、その廃棄物を安全に処理できる技術がない。その点を無視しての原発即時廃止論には、どうしても同意しかねる。
ところが専門家の集団であるはずの調査団には、信条的、あるいは教条的な原発即時廃止論者が紛れているように思えてならない。科学者というよりも、原発廃止信者のように思える。
私の記憶では、野田総理が解散時期を明確にせず、曖昧な答弁に終始していた頃は、この専門家調査団は慎重な答弁に終始し、すぐに結論を出そうとしなかった。ところが、解散が決まり選挙にはいる頃から急激に態度を変えてきた。
そのあげくが安倍・新政権に対して活断層だから原発即時廃止提言である。怪しくて当然であろう。これに疑問を呈さないマスコミは、やはりどこかオカシイと思うぞ。