ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

正月三が日

2013-01-09 12:02:00 | スポーツ

ここ数年、毎年正月は元旦が天皇杯サッカー、二日三日が大学箱根駅伝をTV観戦するのが慣習となっている。

天皇杯に関していえば、監督の差が結果に出た。柏が前半早々に敢えて選手交代をするまではガンバ大阪優勢であった。しかし、戦局を見極める目は柏レイソルのネルシーニョ監督のほうが格段に上だった。

この前半の選手交代以降、レイソルの優勢は明らかで、結果優勝なのだ。試合後にガンバは監督を長谷川健太に変えることを発表したのも当然だろう。でも、本当に健太で良かったのかは、いささか疑問ですがね。ガンバは補強策をとらないとJ2で苦闘すると思います。

それはさておき、翌日の箱根駅伝は見応えがあった。昨年19位の日体大の優勝は見事だが、私が驚いたのは名門・中央大のリタイヤであった。TVではその場面が放送されなかったので詳細を知ったのは翌日。

なんと低体温症であった。

思わず背筋がゾッとした。もし登山であったら死亡事故になりかねないものである。

低体温症とは、人間が自ら脂肪等を燃焼させて保持する熱量(体温)よりも、低外気温や汗、冷風などにより奪われる熱量が多い場合に起こる。よく山岳遭難事故のニュースなどで凍死との報道を目にするが、ほとんどの場合、凍死というよりも低体温症による死亡である。

これは冬だけでなく、夏場でも起こる。特に風が強くて身を隠す場所がない標高の高い稜線上などで起きやすく、過労により体力が低下している状態で体が雨や汗で濡れているところに、風が吹いて体温を奪われる時に起こりやすい。

これは外気温が氷点下である必要はなく、要は体内で生じる熱量よりも、体外に放出される熱量が多ければ誰にでも起こる現象なのだ。

私自身、一度だけなりかけたことがある。あれは10月上旬の谷川だった。まだ残暑の名残りが感じられるほどの好天の下、樹林帯の稜線を登っている時は予想だにしなかった。だが稜線に上がると日本海からの寒冷前線を伴った低気圧からの冷たい風に体温を奪われて、身体の動きが鈍くなった。

疲労よりも身体がスムーズに動かないことに戸惑った。じっとしてられず身体が震える(熱を発生させようとしている)ことを抑えられなかった。あまりの震えに膝の関節が痛くなるほどであった。

幸い避難小屋に逃げ込み、濡れると冷える綿の下着を脱いで、混紡の下着に着替え無理矢理食事を摂って震えを止めた。危なかったと思う。

正月二日は晴天であったが、風が強く吹き付ける悪条件であった。実際、TVでも風で車や白バイが揺れるのが見て取れるほどの強風。だから湘南の海沿いの道を走る各ランナーを観ながら、こりゃあタイムは期待できないなと思っていた。

それでもあの箱根の山登りを控える五区で逆転でトップを勝ち取った日体大の選手を見ながら、若いホープの出現を楽しんでいた矢先に、下位のランナーに棄権が出たと知り驚いた。

TVの報道クルーにとっても寝耳に水であったようで、映像はまったくなく、詳細さえ分からなかった。ただ放送中、箱根路に入ると気温が急激に下がってきたとの報道があったので、それが原因なのかもしれないと思っていた。

案の定、翌日の報道で低体温症が原因のリタイアだと知って納得した。太陽の日差しがまぶしいほどの4区ならまだしも、谷筋に入り日差しが遮られ、しかも700メートル近くを駆け上がる5区は、外気温の低下が著しい。

しかも、あの強風である。薄着のランナーにとっては極めて厳しい条件であったのだろう。結果、低体温症という危険な状況でのリタイアなら致し方ないと思う。

駅伝の醍醐味は、タスキがつながるところにある。一人のトップランナーだけでは勝てない。10人全員が一定の時間内に完走しなければならない。だからこそ面白いし、過酷でもある。

毎年箱根駅伝に出場するのは難しい。10位以内に入りシードされるか、厳しい予選会を勝ち抜くしかない。タスキがつながらなかった以上、名門といえども予選会からの出場になる。中央も城西も来年は箱根に出れるかどうか分からない。

でも前年の屈辱を力に変えて予選を勝ち抜き、予想を覆して優勝した今回の日体大の例もある。今回リタイアした大学は、来年の雪辱を大いに期待したいものだ。そんな訳で、来年も箱根駅伝は見逃せない。

コメント (2)
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