どうやらシナの人民元が、国際通貨としてIMFのお墨付きを得たようである。
率直に云って、あんな粉飾経済の紙切れ紙幣に、それほどの大役をこなせるのか疑問である。だが、当初反対姿勢をみせていたアメリカが、急に矛を収めたため、あっというまにIMFの理事会で承認を得たようである。
なぜ、アメリカは認めたのだろうか。
冷静に顧みてみると、この20年間、世界経済の牽引車の役割を果たしてきたのは、間違いなく共産中国だ。海外からの投資を受け入れ、世界の下請け製造工場として、先進国の投資家グループ、国際企業グループなどを満足させてきたのは、この成長する巨大市場であった。
アメリカは、シナを軍事的な脅威だと認識しつつ、世界経済を引っ張る役割を、まだシナに負わせたいのではないか。云い方を変えると、シナ以外で世界経済を牽引できるだけの巨大な市場は、未だ存在しない。
だからこそ、人民元の脆弱さ、国際通貨としての不公正さを認識しつつ、今退潮期にあるシナを生かすために、敢えてIMFにおいて国際通貨としてのお墨付きを与えたのではないかと思うのです。
同時に、欧米の厭らしさというか、狡猾さも感じます。人民元が北京政府の厳重な管理下にあり、その為替相場でさえも市場価格には程遠い管理価格であることは周知の事実です。
しかし、いったん国際通貨として公認されたら、今までのような管理は難しいはずです。実際、日本円が自由化されて、急激な円高ドル安に襲われた時、当時の日本政府は膨大な税金を投入して、安い円を維持しようとしましたが、国際市場の荒波に押し流されてしまいました。
実際今でも日本政府は為替相場に介入することがありますが、上手くいったとは思えない。最近だと黒田日銀総裁の大幅な緩和策表明が、円安に貢献したくらいで、いくら税金を投入しても意図しての為替相場の操作に成功したとは言い難い。
これは、おそらく人民元も同じ結果になると思われる。いかに北京政府が、その時点で望ましいと考える為替価格を実現せんと、市場介入しようと、一次的な効果しかなく、結局は巨大な国際市場に飲み込まれざるを得ない。
巨大な市場を抱えるとされるシナだが、国内は必ずしも市場経済とはいえず、絶えず人為的な介入がなされる不公正な市場である。法治の国ではなく、人治の国ゆえのことだが、「神の見えざる手」に左右される市場の価格調整機能は、必ずしも北京政府の思惑通りには働かない。
そう遠からぬうちに、北京政府が人民元建ての債券を売りに出すと思いますが、果たして市場は人民元の真の価値をいくらと見積もるのか。
日本にはシナの崩壊を期待する向きが多いのは承知してますが、私のみるところ、シナは今しばらくは国家として維持されていくと思います。だから人民元がすぐに紙切れになる可能性は低いと思いますが、正直私は人民元建ての金融商品に手を出す気はないですね。