ババンバ、バンボン、バン、ババン~♪
白黒のTVから、この音楽が流れてきたら、それはアニメ「狼少年ケン」の始まりだった。
もっとも当時はアニメとは呼ばす、TV漫画と称していたように思う。ただし、このアニメの舞台はアフリカであり、表題の作品「ジャングル・ブック」とは異なる内容である。でもヒントにはなったと思う。
困ったことに、この狼少年ケンの印象が強すぎて、何時頃「ジャングル・ブック」を知ったのか定かではない。記憶がだいぶ混線しているのだ。
多分、アニメ映画のほうが先だったように思う。ウォルト・ディズニーの遺作とされるアニメ映画である。だが私の記憶にはない。あるのは家にあったディズニーの絵本であったと思う。この絵本も度重なる引越しのせいか、どこにいったか分からない。
だから原書(もちろん日本語訳)の「ジャングル・ブック」を読むのは今回が初めてだ。絵本から四十数年ぶりである。ところが、私は中学生の頃からキプリングの名を知っていた。
元々、読書好きの子供ではあったが、その私を熱狂的な本好きに仕立て上げたのは、アメリカのハードボイルド作家ドン・ペンドルドンの「マフィアへの挑戦」シリーズであった。
どうもペンドルドンはキプリングの愛読者であったようで、作品中にキプリングの詩を引用いていた。それが猛烈に格好良かった。おかげで私の中では、キプリング=詩人だと決めこんでしまった。
以来、数十年、時折思い出したようにキプリングの著作を探していたが、まるで見つからなかった。当時はネットはなかったし、詩を扱う古本屋とは縁がなかったからでもある。そして、そのうち忘れてしまった。
実は私、あまり詩を好まない。唯一の例外は漢詩と俳句なのだが、どちらもそれほど好きという訳でもない。多分、物語の筋書きを追う傾向が強く、そのせいで速く読むことに重点を置いていた。だから、文章をじっくりと味わうことをしてこなかったからだろう。
なので、古書店の安売り用の棚の中に、キプリングの名を見つけて少し驚いた。あァ、なんだ「ジャングル・ブック」の著者だったのかァ~。っというか、アニメ映画の「ジャングル・ブック」に原作があったこと自体、知らなかった。
でも、何故かモーグリの名前だけは知っていた。
クポー!!!
そう、分かる人は分かると思うが、ファミコンRPGゲームの名作「ファイナル・ファンタジー・シリーズ」に登場する動物キャラの名前である。狼少年ケンといい、モーグリといい、私は変な覚え方をしていたようだ。
そんな訳で、キプリングの作品を読むのは今回が実質初めてであった。で、少し後悔した。もっと早く知りたかった、読みたかった。機会があれば、この先もキプリングの作品を探して読んでいこうと考えています。