ヌマンタの書斎

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アメリカの国防戦略

2019-01-29 11:55:00 | 社会・政治・一般

アメリカの国防戦略は、大西洋の東の端にブリテン島を、太平洋の西の端に日本列島を置くことにより巨大な防衛圏を為すことで成立している。

この戦略は、ほぼ一世紀に渡り続いている。唯一問題だったのはアメリカに牙を剥いた大日本帝国の存在であった。しかし、第二次世界大戦時を契機に大日本帝国を打ち破って日本列島を支配したことで、この巨大な防衛圏は完成した。

ところが、日本の敗戦によりいざ支配してみると、その総司令官であるマッカーザー将軍は戸惑わざるを得なかった。ユーラシア大陸の東端から日本列島に向けて突きだしている朝鮮半島をどうしたら良いのか。

当初定めたアメリカの防衛計画には、朝鮮半島は含まれていなかった。そのため当時は朝鮮半島に基地を置く予定はなかった。もっと言えば、当時アメリカは朝鮮半島を認識していなかった。どこにあるのかさえ分かっていなかった。

ところが日本に恒久的基地を置くため赴任してきたマッカーサー将軍は、いざ統治を始めると朝鮮半島が無視できないことに気が付いた。朝鮮半島に敵対的な勢力があると、日本列島の安全が保証できないと実感した。しかしこの危惧は、アメリカ本土では理解されなかった。

このアメリカの迷いを把握していたソ連は、工作員である金日成に指示して朝鮮半島北部に傀儡国家を作らせた。これに慌てたアメリカは、急遽南部に民主主義的な国を作らせた。

工作員として優秀であった金日成とは異なり、南部の統治を任された李承晩はリーダーシップに乏しかった。その無能さを突かれる形で、北朝鮮が南部に侵攻して、あっという間に大半を制覇した。

ここにきてアメリカが主導権をとって反攻に及び、これまた一気に中国国境近くまで半島を侵攻した。だが、朝鮮半島を虎視眈々と狙っていた共産シナが、人海戦術でアメリカ軍を押し返して、以来半島は二分されて久しい。

アメリカ軍は朝鮮半島南部に基地を置き、軍隊を駐留させてきたが、ここに来て怪しくなってきた。核兵器を開発した北朝鮮との交渉が始まると、半島に駐在しているアメリカ軍を徐々に日本やグアムに移転させる動きをみせている。

また欧州に目をやると、NATOからの離脱を匂わせている。ユーラシア大陸における米軍基地の配備は、元々冷戦の産物である。そして冷戦は既に終結している。ブリテン島からの撤退の兆しは皆無なので、そうなると本気で本来の防衛戦略に立ちかえるつもりなのだろうか。

もし朝鮮半島から米軍が撤退するとなると、日本列島こそが最前線となる。アメリカ軍にとって日本にある米軍基地は、海外における最大の兵站拠点であり、その重要性は一層増すものと考えられる。

もっとも現時点では、北朝鮮は核兵器を手放す様子はなく、アメリカとしては簡単に半島から撤退するわけにはいかなくなっている。トランプ大統領との二回目の会談もあるようだが、私は上手くまとまる可能性は低いと考えている。

その一方で、南朝鮮のアホ大統領は北との統一を夢見て、核兵器をもった統一朝鮮ならば世界から侮られることなく、アメリカに膝を屈する必要もないと考えているらしい。日本に対する侮蔑的な姿勢も、その延長線上ではないかと思う。

私からすると痴人の夢であり、獲らぬ狸の皮算用に過ぎないのだが、それだけに微妙なかじ取りを要求されるのが今の日韓関係であることは分かる。

どうも、これまでの経緯からすると、今回のレーダー照射事件は、国連決議に反して北朝鮮を支援していた現場を見られて焦った韓国海軍の迷走であるようだ。一方的に韓国側の失態だと思うが、違法行為を認める訳がないので、これ以上日本が抗議しても無駄なのも事実。

むしろ、アメリカが今後、極東地域の国防戦略をどう描くのか、それこそが日本にとって重要だと思えます。感情論に走って、妙なことをしないことを安倍政権には期待したいですね。

コメント (3)
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