あまりというか、ほとんどアニメを視ない私だが、これは視たいと思っている。
原作のライトノベルは累計2000万部を超える大ヒット作である。通常、この手の作品は漫画化を経てアニメ化されて爆発的に売れるのが通例だ。しかし、この作品は漫画化の時点で既に大ヒットとなっている。
しかし、アニメ化されるのに、かなり時間がかかっている。売れると分かっている作品のアニメ化がここまで遅れた原因の一つに、漫画化作が二つあることが挙げられる。
漫画化されたのは小学館から発行された倉田三ノ路版と、スクエア・エニクス社から発行された猫クラゲ版である。なぜに二種類あるのかは、原作者である日向夏さんも分からないとのこと。
ちなみにアニメのほうは、どうも猫クラゲ版のように思える。私はこちらから入ったので、もちろん賛成なのだが、だからといって倉田版を卑下するつもりはない。私はどちらも読んでいるが、小説の漫画化といった面では、倉田版のほうが良質だと考えている。
ネタバレになるのでぼかして書くが、主人公猫猫(マオマオ)が義侠心からやった行為で、幼子と母親が救われた話がある。マオマオは目立つのを厭い、自分がやったのだと分からないよう細工するが、後宮を管理する宦官に見破られる。
数百人いる後宮の下女たちのなかからマオマオを見つけ出す為、宦官は「痩せぎすで字の読み書きの出来る者」を探し出すと猫クラゲ版では表現されている。しかし、原作及び倉田版では、それに加えて「そばかすのある女官」を探せと指示している。
私は猫クラゲ版では気が付かなかったが、倉田版で「そばかすのある痩せぎすの読み書きの出来る女官」探しだと分かり、思わず膝を打った。小説の漫画化とはこうあるべきだと思う。既に単行本の刊行歴のある倉田先生のキャリアと実力だと思う。
猫クラゲ先生がなぜに端折ったのかは不明だが、この作品が初めての単行本発刊だというから、やはりキャリアの差だと云わざるを得ない。ただし、絵の巧さというか、キャラクターを誇張する手法は猫クラゲ版が上回る。おそらくこれがアニメ化された大きな要因だと思う。
なぜなら、この作品の面白さに一つはマオマオの百面相というか、シリアスからコミカルまで多彩な顔芸にあるからだ。この点では猫クラゲ版のほうが上だと思う。
「鬼滅の刃」以来、ほとんどアニメは視てないが、久々に視たいと思う作品が出てきて、ちょっと楽しみ。ちなみに猫クラゲ版の11巻も今月発売され、原作の13巻も発売予定で思わず頬が緩む私です。『薬屋のひとりごと』プロジェクトPV/2023年TVアニメ放送決定!