久々のルメートル作品である。しかも嬉しいことに、あのカミーユ警部再登場である。
これは読まずにはいられない。
しかし、あの衝撃の三部作と比べると本作は短編に過ぎる。なによりカミーユ警部への虐待ぶりが物足りない。なにより犯人のサイコ・ミステリー具体が薄いのが不満だ。
ちなみに私がカミーユ警部虐待シリーズだと呼ぶのは、異常なサイコ犯罪者に苦労し、署内の人的軋轢に悩み、政治的な干渉に振り回されるだけでなく、プライベートな問題にまで苦悶するカミーユ警部の悪戦苦闘ぶりが名物だからだ。
ただ、これまでの異様なサイコ犯に比して、今回の犯人は善良さが目立つのが何故か好印象となる不思議な作品。その秘訣はタイトルにこそある。これ以上はネタばれになるから書かないけれど、真のサイコ犯は案外と皆さんの身近にいるかもしれません。
単行本にするには、少し無理があったほどの短編なので、読書家ならば半日で読めると思う。サイコ作品が苦手な人でも楽しめる内容なので、ルメートル作品に手を出したことがない人でも大丈夫です。