今も昔も戦争に関する公正な報道なんて存在しない。
民間の報道記者が撮影する写真や動画の存在がある程度の真実を暴き出すが、それでも戦争の全体像を客観的に明らかにするのは難しい。その典型ともいえるのが、ウクライナ戦争であろう。
全ての報道を見ている訳ではないが、ぼんやりとした印象ではウクライナが健闘し、ロシアが苦戦しているように感じてしまう。実際、ロシアの戦車が破壊されたり、黒海艦隊の旗艦が沈没したりとロシア側の敗北の印象さえある。
それらの画像や報道記事がフェイクだとは言わない。しかし、私は正直疑問を感じざるを得ない。ウクライナ側だって相当な被害が生じているはず。ニュースなどではキエフなどウクライナ東部の街の被害が報じられるが、ウクライナ軍の兵器の破壊映像もある。
兵器だけが破壊されるはずもなく、相当なウクライナ兵の死傷者が出ているはずだ。もちろんロシア軍もそれは同様だが、軍の規模が桁違いだ。
元々ウクライナは人口4千万人ほどの中規模な国だが、欧州でも下から数えたほうが早い貧乏国である。農業大国ではあるが、ソ連時代の軍需工業は撤去させられて重工業だけでなく軽工業でさえ貧弱な国である。にもかかわらず戦えるのは、西側及びポーランドなど旧ワルシャワ条約機構の国々が、次は我が身と恐れて支援してくれるからだ。
しかし、人材だけはそうそう支援されない。既に女子供を中心に2000万人近くが国外へ脱出している。TVなどでは、その脱出者が帰国している映像も出ているが、国民の半数近くが流出している事実は大きい。
戦争前のウクライナ軍は30万人程度であり、補助組織などを加味しても60万程度である。既に一年を超える戦火で兵員の損傷は3割を超えているらしい。ちなみにロシア軍は投入戦力の4割が死傷と報じられている。この数字がどこまで信用できるのか、かなり怪しいが両国ともに兵員の人的被害は相当であることは容易に想像できる。
兵員の補充は簡単ではない。如何に愛国心を煽ろうと、誰もが兵士になれるわけでなく、また現在の兵器はある程度知的訓練が必要なので、使いこなすのも時間がかかる。なによりも兵員を増やしたくても、肝心の母数が少ないウクライナは圧倒的に不利である。
正直言って、私にはウクライナが軍事上の人材の費消に耐えきれず、3年以内に破綻するのではないかとみている。海外からの支援だけでは戦えない現実が重くのしかかる。もちろんこれはロシアも同様だが、中央アジアやシベリアにまで兵員募集が可能な大国だけに、ウクライナよりは耐えられると思う。
しかしウクライナの政府首脳たちは、海外からの支援に頼り切りであり、そのおこぼれを密かに貯蓄している可能性が高い。なんといってもウクライナは欧州でも指折りの贈賄大国であり、その気風は今も変っていないと予測できる。
ちなみにウクライナに関する報道には、広告代理店が関与している可能性が高く、民間軍事会社が数社入り込んでいるらしい。彼らもまた、なるべくウクライナが長く戦ってくれた方が利益になる。
このままでは、ウクライナには惨めな結果しか見て取れない。何度も歴史の流れの中で消失した国だけに、再び同じ悲劇を繰り返す可能性が高いと私は考えています。