確定申告がらみの話だが、政府も馬鹿だが、それをまともに報じないマスコミ様も馬鹿。
このセルフメディケーション税制が採用されて数年が経つ。毎年百件を軽く超える確定申告を代行する私の事務所では、未だに一回もこのセルフメディケーション税制を使ったことがない。相談すら受けていない。
いや、説明を求められたことはあるが、一言で撥ね付けている。曰く「従来の医療費控除が使えませんよ」と。
まず、ほとんどの方が医療費控除の適用を優先する。当たり前である、この方が金額が大きいのだから。ところが所得税は「医療費控除」と「セルフメディケーション控除」とのどちらか一方を選択しなければならない。
私はセルフメディケーション控除の意図自体は否定しない。健康増進や病気予防のための努力は必要だと自身の経験から省みても重要だと認識しているからだ。しかし、支払った医療費のほうがはるかに多額なため、私もセルフメディケーション控除を使ったことはない。
なんだって、このような馬鹿げた事態になっているかというと、税法における医療費の定義が「病気の治療のための支出」だと限定しているからだ。
その意図は分かる。怪しげな健康食品や医薬部外品まで医療費の範囲に入れたくないが故の制約なのだろう。しかし、せめて厚生労働省認可の医薬品や車椅子、弱視者用の眼鏡などは認めるべきだ。それは治療用ではないが、生活に必要なものだし、病気予防にもなる。
医療費を「治療のための支出」だと頑なに限定するからこそ生まれた制度が「セルフメディケーション控除」であったはず。しかし、現状では役立たずの制度に成り下がっている。この程度のことも分からないお役所の依怙地さもさることながら、それすら報じることが出来ないマスコミ様の意気地の無さ、あるいは不勉強と取材不足には本当に頭に来ます。